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「クハハハ! 強欲のアルコバレーノですか。面白い……だが、欲なら僕も負けません」
四方八方から火柱やマグマが噴き出しマーモンを襲う。
「す、すんげっ」
「夢でも見ているのか……う、うぶ」
「ぐっ……ふらつく……」
「……吐き気が、するぜ……」
「幻覚汚染が始まっているぜ、コラ」
「ああ、脳に直接作用する幻覚をこれだけ立て続けに食らってんだからな」
「雲雀先輩、大丈夫ですか」
「…………」
雲雀は手で口元を押さえ、弱々しく頷いた。
「これほどの幻覚能力、お前、どこで……」
「地獄界にて」
「ふざけるな!!」
「雲雀先輩、大丈夫です。ゆっくり息を吐いてください」
「……っふ、ふー……」
Aは苦しそうに呼吸を繰り返す雲雀の背中を摩る。
「う、うう……頭がっ……! 頭が、われそうだ……何だ……? この感じ……うっ」
ツナが蹲って頭を押さえていた。
「今度は頭の中に何か入ってくる……」
ツナがマーモンと戦う骸の方を見る。
マーモンが骸を捕らえたかのように見えたが、すぐにそれも骸が消し飛ばしてしまう。
「堕ちろ、そして巡れ」
既に骸は2つのボンゴレリングを手にしていた。
「このリングを1つに合わせるのですね?」
「は、はい……」
「まだだよ!! ハア……ハア……少し遊んでやれば、図に乗りやがって!! ハァ……僕の力は、まだまだこんなものでは……!?」
「ご存じですよね? 幻術を幻術で返されたということは、知覚のコントロール権を完全に奪われたことを示している」
骸が綴った言葉は先ほどマーモンがクロームに言った言葉だった。
「グゲッ、やめろ! ファンタズマ!!」
「さあ、力とやらを見せてもらいましょうか? さあ、どうですか? アルコバレーノ。僕の世界は!!」
幻覚によって霧のようなものに姿を変えた骸がマーモンの口に侵入していく。
マーモンの体が膨れ上がり、苦しそうに顔を歪める。
「やめろ! 死ぬっ! 死ぬ――ッ!!!」
「君の敗因はただ1つ。僕が相手だったことです」
「ギャ」
短い悲鳴とともに膨れ上がったマーモンの体が破裂した。
一瞬のうちに元の体育館に戻った。
「雲雀先輩、大丈夫ですか? 具合は?」
「大丈夫だよ」
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作者名:うがつ | 作成日時:2022年9月22日 23時