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Aは落ち着いた足取りで小さな足場の上に片足で立つ。
神によって上げられた身体能力でバランス力も良くなってはいたが、それでもAの重心がブレないのは風を操ってバランスを取っているからだろう。
相手も流石はヴァリアーといったところだろうか、A程ではないがあまりブレていない。
「それでは風のリングアネモスVS下風A、勝負開始！！」
勝負が始まるとともにAは警棒を握りしめ、アネモスに近づこうと距離を詰める。だがそれは対戦相手も同じだ。
ワイヤーの上で繰り広げられる危なっかしい戦闘に、ツナたちはハラハラしていた。
下は劇薬のプール、そんな緊張感が背中に汗として伝う。
「なぁ、お前が"調整役"なんだよな」
「！？」
アネモスのその言葉を聞いたAが激しく動揺し、飛び移ろうとしていた足が滑る。
落ちる寸でのところでAはワイヤーを掴み、落ちずに済んだ。
「ははっ！ 図星か！ 会ったばっかりで悪いけど俺はお前が気に入らねえ」
アネモスはすぐにAを落とそうとはしなかった。落とせば勝てるのに、ただその上で自身の不満を吐き散らし始めたのだ。
「聞いたぜ？ 身体能力も、特殊能力も貰いもんなんだってな！ 調整役だかなんだか知らねえけど何もかも貰いすぎなんだよお前は！！」
「…………」
「なんでお前みたいなのが風の守護者に選ばれてるんだよ。都合が良すぎるだろ。女がでしゃばんじゃねえ！！」
アネモスの言葉にAの黒曜の時からずっとある黒い澱みが広がっていくのがわかった。
「だんまりかよ……もういいよ、死ね」
アネモスはAが掴んでいるワイヤーを持っている剣で切断した。
刹那、ぶわりと強い風がプールの下から不自然に発生する。
アネモスは咄嗟に後ろへと引き、足場に立つが風で体がぐらぐらしていた。
対するAは宙に浮いて、とん、と静かに足場に着地する。
「浮い……た……！？」
リボーンとコロネロが下げているおしゃぶりが共鳴し始める。
「Aあいつ……やっぱり」
「でしゃばんなって何？ 貰いすぎって何？ あれもこれも縛られて、助けたい人も満足に助けられなくて！！ ここに来てよかったとは思ってる、でも
アルコバレーノだとバレてしまったAは今にも泣きそうな顔をしていた。
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作者名：うがつ | 作成日時：2022年9月22日 23時
