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「この特設リングは晴の守護者の決戦に相応しく設計された疑似太陽により照らし出される日輪のコロシアムなのです」
普段からサングラスを身に付けているルッスーリアには視界的な問題はなかったようだ。
だが了平は目すら開けられず、ルッスーリアにただ殴られる。何百度にも熱せられた鉄線に体を打ち、肉の焼ける不愉快な音と了平の悲鳴が響いた。
「ぐわあぁああ!!」
「そんな……滅茶苦茶だよ!」
「あーらこの感触、思ったよりいい
了平は何も見えていないため見当違いの場所に拳を繰り出す。ルッスーリアはそんな了平に向かって舌なめずりをしてから何発も打ち込んでいった。
「ん〜〜♡ 私の完璧な理想の肉体からだに近づいてきたわ〜〜! 私の思う究極の肉体とは朽ち果てた冷たくて動かない
「……くっ、ふざけるな!」
了平の拳がルッスーリアに当たる。だがそれは当たったのではなくルッスーリアが「当たりにいった」のだ。
「いじめちゃいや〜〜ん♡」
「なにっ!? だが今の感触、奴は空中……! 次は逃がさん! もらった!!」
了平の読みは当たっていた。拳は確かに当たった。
だがそれは不運にもルッスーリアの膝。ルッスーリアの左足には鋼鉄が埋め込まれていた。
そんなところにまともに拳を当てたら腕はお釈迦になる。それに加え了平は脱水症状まで引き起こし始めていた。
「立てコラ!! そろそろ頃間だぜ、お前の本当の力を見せてやれ、了平!!」
「……コロネロ、師匠……!! その言葉を待っていたぞ!!」
左腕から止めどなく血が溢れているのに、きっと骨も折れているのに、それでも了平は立ち上がる。
ジュウジュウと汗の蒸発していく音がやけにAの耳に響いていた。
「お兄さんが起き上がった!」
「っしゃ!」
「で、でも大丈夫なの?」
「あなたと私じゃ肉体の出来が違うの、灼熱のライトの中ではもう持たないでしょうに。さっさと死んで私の死体コレクションになりなさいな」
「いいや……! まだだ!!」
「立ってもいいことないわよ。あなたのパンチは通用しないんだから」
「ああ……確かに通用しなかった。左はな……」
「そうだ、右は1度も撃ってねーぜ、コラ!」
コロネロ曰く、1つは細胞を休めてベストな状態に持っていく目的があるから。
もう1つは了平が晴の守護者だからだ。
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作者名:うがつ | 作成日時:2022年9月22日 23時