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「私が行けないことが名残惜しい」

「大丈夫だよ。一人でも頑張れるよ」


日常面でのサポートについての時、神はAの戸籍を用意してくれた。

だが親などの血の繋がった存在を作ることは出来なかったのだ。

それを知ったAは特に悲しそうな顔をするわけでもなく、一人暮らしを喜んでいるようだった。


"気を使う必要がなくなったなんてラッキー"


Aはそう言っていた。神も深く聞くようなことはしなかった。神とは言え、全知全能ではない。わざわざ目の前の少女が悲しむような詮索をする真似はしなかったのだ。


「A」

「あ、初めて呼んでくれましたね」

「……君を名前で呼ぶことを許してくれるか?」

「当たり前です。神様は私のサポートをしてくれる人なんですから。それに私にこんなに親切に、優しくしてくれた人なんて神様が初めてなんです。私頑張りますから、これからもよろしくお願いします。神様!」

「あぁ、よろしくA」


話が終わったところでAはソファから立ち上がる。

神は指を鳴らし、Aの姿が消える。

コーヒーの香りが広がる書斎のような部屋で神は静かに目を瞑る。


「本当に、申し訳ないことをしたと思っている。どうか、どうか不幸せにならないでほしい」


――君がこれから歩む道に、和やかな風が吹きますように。

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作者名:うがつ | 作成日時:2022年9月18日 16時

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