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休日 ページ38

「ふわぁ……ぁぁ……え?」


とある平和な日曜日。顔を洗い終わって朝食でも作るかと思ったAの目に飛び込んできたのはリビングのソファに座る人物。


「え? は? えっ?」


困惑する声がぽろぽろ零れ出てくる。


「なん、で、いるんですか、雲雀先輩……」


そう、ソファに座っていたのは雲雀恭弥だった。


「あれ? 私戸締りしてませんでしたか?」

「鍵はある」

「え? 合い鍵作ったってことですか? 私に断りなく?」

「お腹空いた」

「いや鍵!! 一言言ってくれれば別に許すのに……もう……」


ぶつぶつと文句を言いながらAは鮭を焼き始める。パンの気分だったのになぁ。なんていうが別に雲雀に合わせる必要はないと思う。

朝食を食べながらAはどうして家に来たのかと尋ねたが雲雀は特に答えない。とはいえそんなに明確な答えを求めていたかといえばそうではない。雲雀は気分屋なのだし。会話の種になればと思っただけだ。


「着替えてくるんで、好きにしててください」


緩い部屋着からシンプルなパンツスタイルに着替えてリビングに戻ってくる。

適当にソファに座り、テレビをつける。


「お昼も食べていきますか?」

「食べる」

「わかりました。パスタでいいですか? 私洋食の気分なので」

「何でもいい」


料理作る人間が困るセリフだなぁ、なんて思いながらうさぎのぬいぐるみを抱きしめる。

雲雀が睡眠に入りそうなところで雲雀の携帯が鳴り響く。不機嫌そうに電話を取ったが、通話を切ると同時に雲雀の機嫌は戻っていた。


「出かけるよ」

「……あっ、私もですか?」

「決まってるでしょ」


決まってはいないと思うのだが。とは思いつつも口にはしない。

雲雀の後を追いかけ外に出ると、雲雀がバイクのキーを回しエンジンをかけていた。


「法律とかは」

「僕がここの法律だよ」

「ははっ滅茶苦茶〜」


なんて茶化しているAの頭にヘルメットを被せる。薄々気づいていたが「乗れ」ということだろう。

恐れ多いという言葉がAの頭の中をぐるぐると駆け巡るが、ここで断る方が後々面倒臭いことになる。素直に雲雀の後ろに乗った。


「……あの雲雀先輩」

「何?」

「これ、先輩の腰ぎゅってした方がいいやつですよね?」

「じゃなきゃ落ちるでしょ」

「ですよね。えっと、失礼します……」


Aは誰かの後ろとはいえバイクに乗るのは初めてだったのだが、運転するのが雲雀だからか特に恐怖感はなかった。

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作者名:うがつ | 作成日時:2022年9月18日 16時

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