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「……神様というより魔法使いですね」
一人掛けのソファに座りながらAが言う。
「はは。とにかく私が今まで君の周りにいたような存在ではないことは理解してもらえただろうか」
「まあ、流石にコーヒーとクッキーを指パッチン一つで出されたら信じざるを得ないというか……」
困ったように笑う男、あらため神の方を見てAはへらりと笑う。
そして神が次に発したセリフは謝罪だった。こちら側のトラブルに一般人だったAを巻き込んで申し訳ない、とのことだった。
「巻き込む……?」
「あぁ。今から君には元いた世界とは違う世界に行ってもらう」
「違う世界?」
「いわゆる漫画の世界、というやつだ。君の世界では物語として存在していたものに君を介入させる」
その言葉に和音が一瞬表情を明るくさせ、目を輝かせたが、依然困ったような、申し訳ないような顔をしている神を見て小さく咳ばらいをしてから詳細を聞くことにした。
「君が行く世界は『家庭教師ヒットマンREBORN!』だ」
「……………辞退したいのですが」
「それは無理だ。本当に申し訳ないのだが」
断れる雰囲気ではないということはわかっていたのだが、つい本音が口から出た。
神が出したその漫画は少年漫画で、バトル漫画だ。そんなところにただの一般人が行って生き残れるものなのだろうか。
「主人公と関わらなければ生きていられそうだけど……そうはいかない……ですよね……?」
「そうだな」
Aは天を仰ぐ。誰だって痛い思いをしたくないし、死ぬなんてもってのほかだ。あそこには厄介な者しかいない。誰もが特異体質を持つような能力漫画ならまだしも……Aはそう思った。
「見ているだけならいいかもしれないけど……神様には申し訳ないけど結構憂鬱というか、荷が重いというか……」
「すまない……。だがせめて君が死なないように私がサポートするつもりだ。特異体質や特殊能力、漫画の世界を著しく破壊しない程度のものなら出来る限り授けようと思っている」
「そこまでして私をリボーンの世界に行かせたい理由は何なんですか?」
「あぁ……それを話していなかったか。それは君がリボーンの世界の"調整役"に選ばれたからだ」
「"調整役"?」
神はコクリと頷く。
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作者名:うがつ | 作成日時:2022年9月18日 16時