群れる雲 ページ19
――キーンコーンカーンコーン
「やばっ、チャイム……ッ!?」
チャイムの音が耳に入り、慌てて立ち上がって屋上を出ようとするAが中腰の状態でぴたりと止まる。
「こ、こんにちは、雲雀先輩……。それじゃあ私は教室に戻らないとなので……これで……」
「……君ならいいかな。そこに座りなよ」
「はいっ!」
雲雀に言われた通りAはその場にぴしゃんっと速やかに座る。
何故急に座れと言われたのかがわからないAに何を言うわけでもなく雲雀はごろんと横になる。
「ええっ!?」
「ふあ、何?」
「なっ、何!? 何って――ッ」
Aの太ももの上に頭を乗せて眠る行為はいわゆる膝枕というものだ。
アワアワするAを置いて雲雀は目を瞑る。完全に眠る体勢に入ってしまった雲雀にもう何も言えなくなってしまったAも諦めるように目を瞑った。頭の中から必死に雲雀のことを除外し、日向ぼっこを全力で楽しむことにした。
人間、慣れればどこまでもお気楽になれるもので、気づけばAはまたうつらうつらと船を漕ぎ始めていたし、手持無沙汰なその手が無意識に雲雀の頭を撫でていた。
その事にAは気づいていない。撫でられている張本人は気づいているのだろうか?
それは雲雀にしかわからない。
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作者名:うがつ | 作成日時:2022年9月18日 16時