【REBORN!】調整役とやらに選ばれました (ページ12)

今日:26 hit、昨日:68 hit、合計:46,000 hit

-2- ページ12

校舎内をぐるりと一周すると校舎を出て、門前で雲雀は立ち止まる。

「じゃあね」

そう短く言葉を吐いた。

Aは正直雲雀に対しての警戒や恐怖は未だ消えないが、案内してくれたことは嬉しかったのでぺこりと浅く礼をする。

「案内してくれてありがとうございました、先輩」

校舎内に戻ろうとしていた雲雀の足が止まり、再度Aの方へ振り返った。

立ち止まった雲雀を見て、Aは何かまずいことを口走っただろうかと自分の言動を思い返すが、特に変なところはない。

雲雀がまだ名乗っていないのに並盛に引っ越してきたばかりの自分が「雲雀さん」と呼べば変だったかもしれないが、Aは名前を呼ばずに雲雀を「先輩」と呼んだ。

制服を着ていたし、学校を案内したのだからそう呼んでもおかしくはないだろうと思ったのだ。

(それが気に障ったとしたらもうどうしようもないんだけど……)

ドキドキと心臓の鼓動が速くなっていく。

「雲雀恭弥」

「えっ？」

突然自分の名前を言った雲雀にAは一瞬言葉を失ったが、それが自己紹介なのだということに気づき、さっきのように頭を下げた。

「ありがとうございました、雲雀先輩！」(で、いいのかな……)

ほんの一秒ほどAの目を見てから雲雀は学ランを翻して校舎に向かって歩き出していってしまう。先ほどのように立ち止まることはない。自分の対応が合っていたのだと安心し、Aも当初の予定だった商店街の方へと歩き出していた。

どうか必要以上に雲雀さんに会うことはありませんように。

そう願いながら。