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ページ42

「ゴンと……友達になりたい」
キルアは振り絞るような声で言った。

――Aは知っている。
逆らってはいけないと叩き込まれてきたものに、反逆する恐ろしさを知っている。


「お前に友達なんかできっこないよ。お前は人というものを殺せるか殺せないかでしか判断できない」
イルミは平坦な声を崩さなかった。

――Aは知っている。
その恐怖に打ち勝ってまで、欲しいと思うものの尊さを知っている。

「いつかお前は彼を殺したくなるよ。殺せるか殺せないか試したくなる」
イルミはキルアの望みを丁寧に踏みにじった。

――Aは知っている。
ゾルディックの誰一人として、殺人をためらわないことを知っている。

「てめーらとっくにダチだろうがよ!!」
「そうか。まいったな。あっちはもう友達のつもりなのか。よし、ゴンを殺そう」
イルミは小芝居を打っていた。

――Aは知っている。
ゾルディックの誰一人として、殺人を好き好んではいないことを知っている。

「キル、オレと戦って勝たないとゴンを助けられない。友達のためにオレと戦えるかい?」
イルミはキルアを淡々と追い詰めた。

――Aは知っている。
真に暗殺機械としてあるなら、イルミの言い分が正しいことを知っている。

「……まいった」
キルアがか細い声で言った。

――Aは知っている。
それでも、ゾルディック家の全員が人間らしさを保っていることを、知っている。

「あーよかった。これで戦闘解除だね。はっはっは、嘘だよキル、ゴンを殺すなんて嘘さ」
イルミはキルアの肩を叩いた。

――Aは知っている。
人を殺すことは、殺人鬼にとってはとても簡単だと知っている。

「でもこれではっきりした。お前に友達を作る資格なんかない。必要もない」
イルミはそう囁いた。

――Aは知っている。
殺人鬼は、たとえどんなに人間性を手に入れようと容易く人を殺せることを、知っている。

Aは知っている。色々なことを知っている。

知っていて、それでも、キルアがボドロを殺害して会場から出ていっても、彼女はその場から動くことができなかった。

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設定タグ:ハンターハンター , HUNTER×HUNTER   
作品ジャンル:アニメ
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海野(プロフ) - sakuさん» そのとおりですね。指摘ありがとうございます、記述を訂正しました。 (2019年4月9日 8時) (レス) id: 542ac62a81 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - すみません。ページ12で『白日の詐欺師』にも隠は効くっていうの、そもそもの能力発動条件をクリア出来てないんじゃないでしょうか?纏以外使えないという条件でしたよね?間違ってたらすみません! (2019年4月7日 12時) (レス) id: 7af2b9ccfb (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - sakuさん» コメントありがとうございます。心外ピエロの作者と個人的に交流があるのですが、sakuさんがどちらにもコメントをくださっていてびっくりだねという話をちょうどしておりました。いいですよね。続編も続けられるよう頑張ります! (2019年2月3日 8時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - 心外ピエロ私もよんでるんですが…いいですよね!あと、更新お疲れ様です。相変わらずとても面白かったです。 (2019年2月2日 22時) (レス) id: ee214ae639 (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - 操菜 荘椏さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年2月2日 19時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海野 | 作成日時:2019年1月16日 13時

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