最終試験 ページ35
「最終試験は一対一のトーナメント形式で行う」
広いホールに仁王立ったネテロがそう宣言した。その隣には布で隠されたキャンバスがある。
「その組み合わせは――こうじゃ!」
第一戦がヒソカだったのでAは崩れ落ちた。
「……傷付くんだけど♦」
「わたしは緩い戦いと楽な殺しがモットーなの」
「ヨロシク♥」
ヒソカの声がワントーン上がっている。やだーロックオンされたー、とAはじたばたともがいた。
途中目が合ったネテロが片目をつぶって手刀を立てた。
お前の仕業か。いつか殺してやろうか。
「クリア条件はいたって明確。たった一勝で合格である」
つまり負け上がりトーナメントというわけだ。必ず最後に残った一人(全敗)が不合格になる。
「戦い方も単純明快。武器OK、反則なし、相手にまいったと言わせれば勝ち。ただし相手を死に至らしめてしまった場合は即失格、その時点で残りの者が合格」
一試合目は頃合いを見て適当に負けようかな、とAは思った。
◆
第一試合、ハンゾー対ゴン。
端的に言うと、虐待ショーは趣味じゃなかったが、途中から主旨が変わった。
初めはハンゾーによる拷問チキンレースだった。
相手が子供だし、殺しては失格になるし、道具もないので内容は随分緩かったが、それでも見ていて気持ちのいいものではない。
Aとてそれくらいの感性は身に付けている。
訓練も受けていないだろうに三時間耐えたゴンは大したものだ。
その上ちょっと回復するやド直球で駄々をこねてハンゾーをたじろがせ始める。本当にただ者ではない。
てめー自分の立場わかってんのか、というハンゾーの悲鳴を皮切りに二人の押し問答が始まり、そのすったもんだをBGMにAは大笑いした。
ヒソカや191番も肩を震わせている。
最終的に、ゴンの斜め上空に歪みなく真っ直ぐカっ飛んだ意地に根負けしたハンゾーが負けを宣言、ゴンの合格が確定、
「ダメだよそんなのずるい! ちゃんと二人で話し合ってどうするか決めようよ!!」
呼吸困難になるのでやめてほしい。
「……要するにだ、オレはもう負ける気満々だがもう一度真剣に勝つ気で勝負しろと。その上でお前が気持ちよく勝てる勝負方法を一緒に考えろと。こーゆーことか!?」
「うん!!」
「アホかー!!」
ハンゾー渾身の叫びと共にゴンが宙を舞った。
これはゴンを相手にしたハンゾーが悪い。
Aの笑いが収まって次の試合ができるようになるまで、およそ二分を要した。
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海野(プロフ) - sakuさん» そのとおりですね。指摘ありがとうございます、記述を訂正しました。 (2019年4月9日 8時) (レス) id: 542ac62a81 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - すみません。ページ12で『白日の詐欺師』にも隠は効くっていうの、そもそもの能力発動条件をクリア出来てないんじゃないでしょうか?纏以外使えないという条件でしたよね?間違ってたらすみません! (2019年4月7日 12時) (レス) id: 7af2b9ccfb (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - sakuさん» コメントありがとうございます。心外ピエロの作者と個人的に交流があるのですが、sakuさんがどちらにもコメントをくださっていてびっくりだねという話をちょうどしておりました。いいですよね。続編も続けられるよう頑張ります! (2019年2月3日 8時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - 心外ピエロ私もよんでるんですが…いいですよね!あと、更新お疲れ様です。相変わらずとても面白かったです。 (2019年2月2日 22時) (レス) id: ee214ae639 (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - 操菜 荘椏さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年2月2日 19時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海野 | 作成日時:2019年1月16日 13時