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――気配。
本能に叩き起こされて目を開けると、眼前にヒソカの不気味な笑顔があった。
「やあ♠」
「ぎゃっ!!」
伏せの姿勢からAは即座に跳躍、わきわきと妙な動きをするヒソカの手を身をよじって掻い潜る。
壁と天井を使って三角飛び。ヒソカの背後に降り立っていつでも逃げられるように腰を落とす。
ぐりん、と緩慢だが不気味な動きで彼は振り返った。すぐに飛び掛かってもこないし、オーラを練るわけでもないし、殺気も出さないし、主語はつけないが立ちあがりもしない。
「くくく……そんなに警戒するなよ、せっかく撫で回してやろうと思ったのに♣」
Aは逃げた。それはもう床を抉る勢いで逃げた。
「まあまあ♦ それより何でわかったんだい? ボクの絶完璧だったはずなんだけど♥」
「ついてくんなー!!」
後ろから迫ってくる声がえげつないレベルで怖い。
一瞬振り返ると≪
「おのれヒソカ……っ!!」
Aはぐるぐると唸った。あの野郎念を隠しもしやがらねえ。
今Aが引き寄せられずに済んでいるのは、単純に≪
捕まるが――まさか何時間も逃げ続けるわけにもいかない。
Aは予備動作なしに急停止。
床をしっかりと噛んだ足裏は滑らない。
流れそうになる身体を力業で押さえ、勢いのままに滑ってくるヒソカ目掛けて、渾身の後ろ蹴りをお見舞いした。
……かったのだが、直前で肩にかかっていた引力が消失。ヒソカが念を解除したことを見ずとも悟る。
チッ、と舌打ちしつつAはヒソカに向き直った。
「……ヒソカ、絶できたんだ?」
「失礼な♠」
失礼でも何でもないと思う。
ヒソカは殺意も殺気も隠さない。その必要はないと思っていそうだ。
「っていうかあれだけ近付かれたら気付くよ普通……」
「だろうね♣」
だったら訊くな。
「……で、なに?」
「何も襲おうってわけじゃない、言っただろ?」
「『変化系は気まぐれで嘘つき』」
「♦」
にこ、とヒソカは笑った。胡散臭い。
ヒソカは本気ではない。Aが本気を出さないことをわかっているから。
「逃げてれば諦めてくれる?」
「飛行船で鬼ごっこかい? いいね♥」
Aは再び舌を打った。こうなったヒソカは扱いにくい。
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海野(プロフ) - sakuさん» そのとおりですね。指摘ありがとうございます、記述を訂正しました。 (2019年4月9日 8時) (レス) id: 542ac62a81 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - すみません。ページ12で『白日の詐欺師』にも隠は効くっていうの、そもそもの能力発動条件をクリア出来てないんじゃないでしょうか?纏以外使えないという条件でしたよね?間違ってたらすみません! (2019年4月7日 12時) (レス) id: 7af2b9ccfb (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - sakuさん» コメントありがとうございます。心外ピエロの作者と個人的に交流があるのですが、sakuさんがどちらにもコメントをくださっていてびっくりだねという話をちょうどしておりました。いいですよね。続編も続けられるよう頑張ります! (2019年2月3日 8時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - 心外ピエロ私もよんでるんですが…いいですよね!あと、更新お疲れ様です。相変わらずとても面白かったです。 (2019年2月2日 22時) (レス) id: ee214ae639 (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - 操菜 荘椏さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年2月2日 19時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海野 | 作成日時:2019年1月16日 13時