雨のち晴れ<1> ページ29
手越side
「兄さん」
「……祐希」
「結婚、やめるの?」
俺より1年生まれるのが遅かっただけで
「手越」を継げないのは理不尽だと思うくらい
祐希は頭脳明晰で、我が弟ながら容姿も悪くない。
「情報が早いな」
「まー、いろいろとね」
祐希は苦笑いしながら隣に腰掛ける。
「……増田さん、だっけ。元気にしてんの?」
「ロンドン行っちゃったからわかんないけど。
元気なんじゃない?」
「あ、そうなの?一度会ってみたかったのに」
<おれ…、ずっとタカのこと想ってるから………
だから、タカも俺のことわすれないで……>
<……本当にばかだね。お前は>
最後の夜、そう強請った。
忘れないで。俺のこと、ずっと想っていて。
自分は結婚するくせに、傲慢で身勝手な願いだ。
<ずっと…想っててやる。お前が誰と結婚しても。どこに居ても>
<……ばか>
<ふふっ。俺のセリフ取らないで>
それでもタカは、切なくて甘くて幸せな魔法を
俺にかけてくれた。
たとえハッピーエンドじゃなくても
それは俺を今日も生かしてくれる。
「兄さん」
「……ん?」
「結婚やめたいのって、増田さんのせい?」
「ああ、うん……いや。どうかな」
<結婚しない>
俺がそう言い出したために、
両家がパニックに陥った。
父さんは烈火のごとく怒っているし
母さんは突然のことに泣くばかりだった。
もちろん相手側からも散々なことを言われた。
みんなに迷惑がかかることはわかりきっていたけれど
俺はこの恋を捨てられなかった。
「父さん、増田さんのこと調べてるよ」
「は?」
「彼に、それなりの圧力かけるって」
「父さんのやりそうなことだな」
「いいの?」
「いいわけないだろ。なんとかする」
「……なんとか、できんの?」
「さぁ?」
祐希は、しょうがないな、とでも言いたげに
ふぅっとため息をついて笑う。
「なんか、俺に手伝えることあったら言って」
「……ありがと」
父さんが動くことは想定内だった。
タカに圧力なんてかけさせない。
俺は、父さんの元へ向かった。
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りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、温かいお言葉、本当にありがとうございます(^^)。子供と大人の割合が半々くらいの手越さん、いかがでしたでしょうか(^^)。最後は、増田さんの重めの愛で締めさせていただきました。これからも甘々な2人を描けるように頑張ります! (2019年5月14日 21時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - りおさん» 早速、可愛い手越くんがいっぱいで最高です! ちっちゃくなるだけじゃなくて、テゴマスの甘々もあるのが新しくてとても楽しみです! (2019年5月14日 19時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、コメントありがとうございます(^^)。子供になってしまうと言う設定は初めてなので手探りで物語を進めております。少しでも楽しんでいただければ幸いです!本当にありがとうございます(^^)。 (2019年5月14日 6時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - いつもお話読ませて頂いています。甘々なテゴマスがいっぱいで面白くて、最高です。今回は、手越くんが子供になるみたいなので今からワクワクです!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年5月13日 18時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りお | 作成日時:2019年5月13日 6時