story51─消えた ページ24
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△小沢章友side▼
最近、俺の上司である弓月様が何処か可笑しい。俺と話す時に、少し挙動不審になるのだ。
「弓月様、在庫確認しましたが、片栗粉が少なくなってます」
「……そう、じゃあ、あとで、発注お願い」
「……判りました」
こんな感じで、よく言葉を区切る。そして、必要以上の会話をしない。まるで俺を避けているみたいだ。
俺が理由をもんもんと考えていると、聞きなれた鈴の音が鳴った。
「いらっしゃいませ」
「お邪魔するよ。いつものよろしく」
そう声をかけられ、誰が来たのだろうかと扉を見てみると、そこに居たのは太宰さんだった。
「……またサボりですか?」
「真逆。今日はちゃんと仕事終わらせたよ。……ところで、君の上司こそサボりかい?」
「はい?」
そう云えば、太宰さんが店内に現れてから弓月様の声が聞こえない。いつもなら、俺の少しあとに声をかけるのに、だ。
嫌な予感がする。
恐る恐る、先程まで弓月様がいたカウンターを見れば、そこには、もう
「……いない」
弓月様はいなかった。
いや待て落ち着け、後ろに引っ込んだだけかもしれない。落ち着け、落ち着くんだ俺。
「……暫し、ここで待っていてください」
「無駄だと思うよ」
「へ」
突然の太宰さんの無駄発言に戸惑いを隠せない。そう云う太宰さんの、昔の瞳に俺はあの間抜けな言葉以上、云えなかった。
太宰さんは、ゆっくりとカウンターの端にある紙きれを指さした。まるで、見ろとでも云うように。
─ここにはいられません─
「……これっ……て……」
「……これ、弓月ちゃんの字かい?」
ああ、確かにそうだ。これは注文票でよく見る弓月様の字だ。……けど、そう。
認めたくない。
俺は、衝動的にその場にエプロンを投げ捨て、店の扉へと歩く。
「どこに行く気だい?」
「……貴方なら、判るでしょう」
「ああ、検討はついている。だが、君は1人で探し出せるのかい?1人、喰種の溢れる街で2年間過ごしていた彼女を」
その言葉で、俺の足は止まった。2年間も喰種がわんさかいる処であの人は生きていたのか?
……太宰さんは、1人で探せるのかと俺に問うた。まるでそれじゃあ
「自分も連れて行けって云ってるみたいですね」
後ろで彼が満足そうに頷いた気がした。
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うりゅき(プロフ) - 明けましておめでとうございます!モンゴメリちゃんも色々抱えてますからねぇ。いつかは弓月ちゃんとモンゴメリちゃんを絡ませたいです笑 森さんの殺気、どういう反応にするか迷ってるんですよねぇ。今年も私共々この作品をよろしくお願いします! (2019年1月1日 11時) (レス) id: dc3c37d785 (このIDを非表示/違反報告)
黒い天使 - あと、少し遅れましたが明けましておめでとうございます!今年も宜しくお願いします! (2019年1月1日 0時) (レス) id: 79595964d2 (このIDを非表示/違反報告)
黒い天使 - 更新お疲れ様です!森さんとの絡みですね〜!敦君は流石です!ルーシーちゃんは、喰種ごときって...泣く... 森さんの殺気どう反応(?)するのか、気になります!次回の更新楽しみにしてます! (2019年1月1日 0時) (レス) id: 79595964d2 (このIDを非表示/違反報告)
うりゅき(プロフ) - 黒い天使さん» コメントありがとうございます!異能力者VS喰種ですね!私も書きたい衝動に駆られうずうずしてます(笑) (2018年12月28日 18時) (レス) id: dc3c37d785 (このIDを非表示/違反報告)
黒い天使 - 真逆、原作の交差点だとは!トーカちゃんなら羽赫使って自力で脱出しようとするだろうなぁ…って思います(笑)森さんと、どう関わるのか気になります!更新お疲れ様です!次回も待ってます! (2018年12月27日 23時) (レス) id: 79595964d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りうゅき x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sHihamu131/
作成日時:2018年9月30日 20時