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まふ君に見られたこの姿。一番会ってはいけない人に見られてしまった。
良いタイミングでお手洗いに言ったと思った私が馬鹿だった。なるせちゃん、るす君に引き続き次はよりによってこの人…?
何故か私に会うと発作が出てしまうまふ君の症状。
これは…どうすれば…。
「え、先輩、っ…」
ほとんどなるせちゃんと同じ反応だが何か違う。
こんなに、息なんて荒くなかった。顔だって赤かったけどこんな熱になった時みたいな火照りではなかった。
確かに今の姿に羞恥感はあるが、それよりもまふ君の症状の方が心配だ。
『あ、の、まふ君…上に行って』
「…っ」
だんだんと歩み寄って来る彼。それに後退りをするがまふ君も足を止めない。
これは、やばい…。
「やっぱり、我慢なんて出来ないんだ」
『…待って、落ち着いて…急には駄目だから!一回話そ?』
「無理。何で、そんな格好で…うろちょろしてんの。
胸元…だって、見えてるし…」
顔を逸らし私に目を合わせなくなる。
自分の頬も熱くなっている事に気付き、直ぐに胸元を手で隠す。
「………襲われたいわけ」
『えっ』
「この症状が、どんなのか知ってるでしょ?」と聞いてくるまふ君に首を縦に振る。
「何で…その格好を…偶然…見ちゃうかな…」
「キツいの分からないでしょ…」と火照った顔で私を睨む。
また一歩、私に近付く。後退りするがもう無駄。
行き止まりになってしまった。
私に手を伸ばし、それに対して反射的にぎゅっと目を瞑る。
駄目だ…またさっきみたいに…__!
「……おい。一回言って分かんなかったの」
『…!』
その声と共に、頭を叩いた良い音と少し怯んだまふ君の後ろにいた数人の人影。
私を見て吹き出した天月君。そして「わぁお」と言ってにんまりしているセンラさん。急いで上着を着せにくるなるせちゃん、呆れ顔のそらるさんとるす君。
「お前俺ん家来い。ちょっと話したい事あるから」
「…。」
「Aごめんね、ちょっとこいつ連れて帰るわ。その、なんか、大変だったね」
「ばいばい」とまふ君の首根っこをつかんで玄関へと向かう。他のメンバーも「じゃあ俺もー」と次々帰っていく。
「あ、俺少し残って良い?」
と、なるせちゃんが私に聞いてきたがそれに反応した五人が「おい!!」と口を揃えて言った。
「そんなの僕が許さない!絶っ対駄目!なるせ帰れ!」
『あ、私は別に…良いけど』
「えぇ!?先輩何でぇぇ!?」
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作者名:花 x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/ryou/
作成日時:2018年2月2日 22時