信じる正義は ページ3
元帥室から出て行ったスモーカーは苛立ちを抑える為誰もいない廊下で柱に体を預け新しい葉巻に火をつけた
はァ、と大きく煙を吐き出し頭を抱える
「っ…俺はバカか」
おかしい所は多々あった。きっとよく落ちる事が多かったのも、つるが言っていた過去の暴走もあの一族の血が目覚める為の物だと。
先日の休暇も、あの時にはAはもう気づいていて、最後に俺との時間を作ったのだと。あの涙は、そういう意味だったのかと今更理解しても遅くて。
無理にでも聞き出せばよかったのかと、後悔ばかりが募る
「っクソ!!」
ガンッと殴った壁がガラガラ崩れ落ちていく
「スモーカー。荒れたって仕方ないだろう」
「っ…」
「あのままAと一緒に居たって、その後はどうするつもりだ?ここに居たら差し出さなきゃならねェだけだ。それなら…逃げてくれて良かったんじゃねェか」
「軍は…指名手配を出すんだろう?」
「…出す、だろうな。それが、海軍の正義さ」
「チッ…」
「皆思ってることは一緒よ、スモーカー」
政府への不信感
正義の為なのか、何かを隠す為なのか
そして自分はこちら側の人間で、追われる身になるAを今すぐ守ってやることが出来ない事が悔しくて堪らなかった
「それでも俺ァ…Aを諦めないですよ。俺は俺の正義に従うだけだ」
「…そうだな」
ポンポンとスモーカーの肩を叩いて去っていくクザン
掌を見つめぎゅっと握りしめたスモーカーも動き出した
「(会って、とりあえず抱きしめてェんだ。後のことはそれから考えりゃいいだろう?…政府の思いどおりになんかさせねェよ)」
そして、翌日
その新聞の見出しは2面に分かれていた
片方は、火拳のエースが捕まり公開処刑の決定
もう片方は海軍中将が"鬼神"の生き残りだいう記事と、10億ベリーの生け捕りの指名手配書が挟まっていて、世界中がこの2大ニュースに驚愕した
「もう出したの…早いなやっぱり」
とある島でニュースクーから受け取った新聞を読む
エースが捕まっていることは情報筋から聞いていて、公開処刑の日時を知ったAはある所へ向かう準備をした
掌に乗せた、もう随分と小さく燃えてしまっているビブルカードを見つめ、待っててと小さく呟いた
68人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Ancop | 作成日時:2023年3月29日 23時