またなの笑顔は ページ31
日も暮れかけ、仮設本社に戻ったAは軽くシャワーを浴び、着替えると頭を拭きながら出てきた
すると誰もいなかった部屋に気配を感じ、すぐに刀に手をかけ暗い部屋を見渡した
「フッ、さすがだな。だが別に敵意はねェよ」
「っはぁ…ねぇ、密かに着いてくるの好きなの?」
「たまたま出ていくのが見えたから来ただけだ」
暗闇からまだ残る夕日に照らされ出てきたのはゾロで。
刀から手を離しまた髪を拭くが、神経がそっちにいって集中できない
この前ゾロに付けられた跡は、スモーカーに上書きされたが、かと言って同じ事は繰り返せない。
良くも悪くも、距離が縮んだのだが。
だがどうも、この男に見つめられると動けなくなる
近づいてくるのも、触れられるのも分かってるのに拒否できない
「っ私、好きな人いる」
「へェ、それで?」
「だからっ、やめ…て」
「ならちゃんと、目ェ見て言えよ」
「っ…」
腰を抱かれ密着して顎を持ちあげられ目が合う
精一杯に睨むが、自然と上目遣いになってしまうAにゾロはゴクリと喉を鳴らした
「フッ。説得力ねェ顔しやがって。だが、相手がどれだけの奴だろうが欲しいもんは奪ってでも手に入れるぜ。俺は"海賊"だからな」
獲物を見つけた獣の目をしたゾロから、次は目が離せなくなる
余裕な顔でニヤリと笑い離れたゾロは、最後に頭を撫でて外へ出ていった
「っはぁぁ…」
タオルを頭から被りその場にしゃがみ込む
なんなんだ、あの男は
まだ会って間も無いのに、全てを見透かされるような目に動けなくなってしまう
あぁ…また。スモーカーさんごめんなさい。とボソッと呟いた
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「もう帰っちまうのかァ!?」
「しょうがないでしょ?Aだって忙しいんだから!」
「いや、だからサボりだろ」
挨拶をしにプールに戻るとまだまだ宴は続いていて、名残り惜しいがルフィ達に別れを告げた
「Aくん! また遊びに来てくれたまえ!最後にヒーローの歌でもうたってやろう!」
「コソ(ってゆうかあれウソップだよね?何してんの?)」
「コソ(あァ、色々あってだが気づいてねェのはルフィとチョッパーだけだ)」
「あ、そう…」
また歌で盛り上がる一向にクスッと笑って、あまり引き留めすぎるのも悪いなと、改めて別れを告げ歩き出した
「A〜!またなァー!!」
振り返ると一味全員、笑顔で手を振ってくれている
またな。次に会うのは、笑顔でではないかもしれない
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作者名:Ancop | 作成日時:2023年3月16日 15時