甘い罠 ページ34
「(あっつ…そんなに飲んだかな…)」
「Aさん？どうかしましたか？」
「ぁ…いえ…少し酔ってしまったようなので、外の風にあたってきます」
食事も落ち着き王子と話していたAだが、だんだんと熱くなる体に違和感を感じ外に向かった
「だんだん効いてきたか…くくっ」
王子はポケット上から小さな瓶を握りしめた
このパーティの本当の理由は、Aと王子の為のものだった
実は海賊に襲われた時商船に王子も乗っていて、そこでAに一目惚れしていたのだ。アプローチをと、毎日プレゼントを気持ちとして送っていたのだが、返事もなく、仕舞いには大将からも断りが入りガードの固さを思い知った
それでもめげずに送り続けて、パーティの誘いに答えてくれたのでもうここで手に入れるしかないと、ある事を実行したのだ
「あついっ…」
会場から出たがどこにも海兵達が居ない事に違和感を覚え、周りを見渡すと嫌な気配を感じ取る
「これは…まずいかも…」
何人かに見張られている事に気づきどう突破するかを考えるが、ドクドクと脈打つ身体に正常な判断ができなかった
「(くそっ…なんか盛られたかっ…)」
捕まる事だけは避けないとと、ヒールを脱ぎ捨てその場から全力で走りすとやはり数名の男達が後を追ってきた
ここは城の敷地、高い塀があるもののお構い無しに飛び上がり、外へと逃げた
「何ィ？！逃げられただと？！探しだせ！！…くそ、さすが海軍中将ってだけはあるな…だからコレを仕込んだのにっ」
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「はぁっ…はぁっ…」
島の裏側の森まで逃げ、追っ手が来ていない事を確認するとAはその場に座り込んだ
走ったせいか、余計にうずく身体
応援を呼ぼうにも、武器も電伝虫も着替えと一緒に置いてきてしまっている
絶体絶命のような状態に頭を抱え倒れ込んだ
「ぁっ…毒？…なんなのこれっ…あついっ…」
ズクズクとうずく身体、呼吸も荒くなり、体に擦れる布や地面に声が出てしまう
訳の分からない状況にもがいていると、ザッと後ろに足音が聞こえ振り返ると1人、男が立っていた
「こんな所で何をしている…銀双鬼のA」
「はっ…ぁっ…おまえ、は…
トラファルガー・ロー…？」
そこでAは意識を失った
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作者名：Ancop | 作成日時：2023年3月3日 0時
