拾参話 ページ14
その日の、夜12時過ぎ……
私は、もうここにいるのは限界だと感じていた。
１5の自分に屋敷のトップは務まらないのだ。
照美や士郎が寝静まったころ、私はこの屋敷から抜け出すことを決めた。
服を動きやすいものに変え、自分で稼いだ1両と数文の金を巾着に入れると私は音を立てないようにそっと門の外へでた。
貴女「……綺麗」
屋敷からでると、月が満ちていてキラキラと輝いていた。
6年も屋敷を出ることを許されなかった私は、とても新鮮な気持ちだった。
屋敷の外に出たのはいいものの、行く宛はない。
夜が明ける前には、なるべく遠くに行っていたい。
私は、着物の裾を掴むと小走りにただ夢中で吉原の町を駆け抜けた。
町は、賑やかだった。
たくさんの男が行き交っていた。
すると、どこからかこんな声が聞こえてきた。
「美しい娘だ……なんで走ってるんだ？」
「ん？あれは、屋敷トップのA様ではないか！まさか、抜け出したのでは……おい、追うぞ」
やばい、見つかった。もし、捕まってしまえばまた屋敷に連れ戻されてしまうだろう。
私は、走るスピードを速めた。が、男の体力には敵わない。
なにか隠れる場所は、無いか探していると建物の間に細い道を見つけた。
私は、すぐにその道へ入った。そして、建物の影に身を潜めた。
貴女「……ここで、おしまいかな。」
私は、屋敷に連れ戻されることしか考えていなかった。本当にそれは避けたい。
ずっと走っていたため、息が切れたため肩を大きく揺らして深呼吸をしている
と
「君、大丈夫？」
突然だった。
目の前に現れる男の手。私に差し伸べているらしい。
そうっと顔を上げると、目が合った。
エメラルドグリーンの綺麗な瞳。
穏やかな声。
私は、一目で恋に落ちた。
「俺は、基山ヒロト。君は？」
貴女「……西園寺A。」
時が止まったようだった。
ヒロト「……おいで。僕と一緒に逃げよう」
といい、私の手を握る彼。
とても暖かかった。
貴女「……でも！ヒロトさんを巻き込んでしまったら」
私がそう言うと、彼はクスッと笑って
「大丈夫。僕が、君といたいからこうするんだ。さあ、早く。行くよ」
……人の優しさに触れたのは久しぶりだった。
私は、鳴り止まない鼓動を手で抑えてヒロトと町を駆け抜けた。
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りま(プロフ) - ゆーみやン＠JustinB好きさん» ありがとうございます！本当に嬉しいです！これからも宜しくお願いします。 (2017年4月26日 19時) (
レス) id: 955dc22c3d (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン＠JustinB好き(プロフ) - 完結おめでとうございます！ 切ないお話でしたが、感動しました！！ 読み飽きなかったです！ これからもりまさんのこと応援しています！( *´艸｀) (2017年4月9日 1時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
りま(プロフ) - 南野ユウカ@元ぱるさん» ありがとうございます。そんなこと言っていただき本当に嬉しい限りです。今後ともりまの作品を宜しくお願いします。 (2017年3月25日 8時) (レス) id: 7395b73eeb (このIDを非表示/違反報告)
南野ユウカ@元ぱる(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白かったし、展開が読めなくて凄くワクワクしてました。 (2017年3月25日 6時) (レス) id: 16e2777840 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - りまさん» はい！更新頑張ってください！！(o^-')b ! (2016年11月13日 9時) (レス) id: 16e2777840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りま | 作成日時：2016年5月28日 17時
