ひ め ご と 【基山ヒロト】

拾弐話 ページ13

「ねえ、聞いた？玲奈様、亡くなられたらしいよ！」






「嘘！？じゃあ、この屋敷のトップはA様になったのね。」







「でも、A様あんなに玲奈様に懐いてらしたのに……。可愛そうね……」





＿＿＿＿＿＿＿＿＿



「A様、お客様がお見えになりました。」







貴女「……来たか。」





私の噂がますます大きく広まったころ、私の歳は15となった。




１5で、遊郭のトップ＿＿＿＿＿




そんな私を興味本位で指名する男は、多かった。




貴女「ようこそ、おいでくんなまし……」




今日のお相手は、四十代前半の男だ。




「噂通りの美人さんだねぇ、おいで？」






貴女「失礼します」



私がその男の横に座る。


すると、男はいきなり私の胸を触ってきた。





貴女「お止めください。わっちは、初回じゃ床は取らんのです」



位が上がった私は、顔を合わせて３回目で初めて床をとる。

だから、初回の人とはただ話をし一緒に寝るだけだった。






「……生意気な小娘だ。」

男は、私を触るのをやめない。





貴女「……礼儀がない男なこと。」



私は、つい嫌味を言ってしまった。





「なんだと！？今、俺に向かって何を言った？」



男は、目を真っ赤にして私に怒鳴る。
とても、怖かった。早くいなくなってほしい。







貴女「お帰りください。……ねえ、帰って！！！！」





私は、思わずタメ口になる。




と、






バシンっ





貴女「なっ！」



私は、男に思いっきり叩かれた。




「こっちから願い下げだ！こんなとこ2度と来るもんか！」




男は、そう言い乱暴に扉を開けて帰って行った。


私は、叩かれた方を手で抑えていた。



唇が切れて、血が止まらなかった



＿＿＿＿＿




大きな音を聞きつけたのか照美と士郎が部屋の中に入ってきた。





照美「A！自分が何したのか分かってるのか！？」



照美は、私のことを怒ってきた。


私の口から流れ出す血を気にする素振りは全く見せない。





士郎「まあまあ、落ち着いてよ。お客様もいろいろ問題があったんでしょ？」


照美「そういう問題じゃない！」




今度は、私の事を庇ってくれた士郎と口論をする始末。



貴女「……本当に、申し訳ありませんでした。」



私は、土下座をして謝った。


自分は、悪くないと思っている。でも謝らなければならない。






私は、その場から逃げるように部屋に帰った。









そして、静かに泣いていた。

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