88. yellow × nails ページ38
貴方.
光「Aさぁ、寂しいなら俺に甘えてもいーんだよ?」
『……そんな、高校生にもなって』
光「まだ高校生だろ!お前な、世の学生舐めんなよ?皆もっと子供だからな!」
.
『……え?何でこんなに上手いの?!』
光「へへ、舐めんなよ〜?手先器用なんだぞ、俺」
『知ってるけどさ……凄いね、光』
真っ白なマニキュアを丁寧に塗り上げていく光。そばに置いてある花なんかのネイルパーツも、ふんだんに使って……器用なのはもちろんだけど、センスがあるんだろうなあ。
私がオーディションを受けた後から、ずっとそばにいてくれた光。時にはお母さんのように優しくて……一番甘えさせてもらったと思う。間違いなく。
若くして芸能界にいる人は皆そうだと思うけど、早くから大人に混ざって生活していたわけだから、人よりも価値観が大人びている節がある。
光はそんな私を心配して、よく「俺を頼れ」「俺に甘えろ」なんて言ってくれたっけ。
光「Aは綺麗な手してるからな〜、綺麗に塗ってやらないとって思って。めっちゃ練習した」
『真面目かぁ……いやでも、ありがとね?あんまり塗らないから嬉しい』
光「まぁな、ドラマとかあるもんな……同年代の女の人とか、皆ネイルとかしてるのに」
『……仕事ですから』
私の親指の爪に、さりげなく黄色のパーツを乗せた光は、「切ね〜」なんて何とも言えない顔をして笑った。確かに切ないなあ……自分で選んだ道なのだから、仕方ないんだけどね。
それでもやっぱり、大切な仲間に仕上げてもらったネイルをすぐに落とすのは……あまりにも寂しい気がして。
『……光、今度さ、ネイルチップ作ってって頼んだらどうする?』
光「ん?俺でいいの?逆に」
『うん……光が作ってくれたもの、手元に置いておきたいの』
「ダメかな?」と聞けば、光は目を細めて笑った。それが何を意味するのかなんて、聞くまでもなく分かりきっていて。甘えることが照れくさくて仕方なかったあの頃の自分は、きっともうどこにもいないね。
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