りとるプリンセス《 Lil かんさい》 (ページ7)

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7. 主成分、優しさページ7

貴方.

『……あかん、しぬ』

女の子として生まれて、あっという間に20年以上の時が経った。何ならもう21年なんですけども。早生まれやから、ってそんなことはどうでも良くて。

それだけ長い年月を過ごしていても、月1でやってくるあれそれは耐え難いものやった。もちろん波はあっても、心身ともにやられるから……

「Aちゃん、座っとく？顔色悪いよ」

『あ、いえ、全然！もしあれやったらチーク濃いめに塗っちゃってくださいね！』

どんなにキツくても、それを表に出さへんように必死やった。お仕事やからっていうのもあるけど、1番は身近な仲間たちへの影響を考えて……男の子しかおらんから。

女性のスタイリストさんは特に気にかけてくれてるけど、何だかそれも申し訳ない。塗り直されたチークはめちゃくちゃ可愛い色やけど、いつもより浮いているようにも見えて自己嫌悪。

ほんまにそんなこと思ったらあかんのに、自分が嫌で嫌で……

琉「Aちゃん、」

『うお、琉巧？どしたん？』

琉「これであっためといてください、寒いんで」

『……ココア？』

琉巧が手渡してくれたのは、私も大好きな甘いココアが入った缶で。丁度いい温もりを保っているあたり、恐らく自販機から買ってきたばかりやろう。

『るーく……なんてええ子なん、』

琉「あ、それ俺ちゃうんですけど」

『へ？』

琉「こたちゃんです、Aちゃんの不調に真っ先に気付いたの」

『……こたろうが？』

こくりと頷いて笑った琉巧は、私の手からそれがこぼれ落ちないようにしっかりと握らせた。

彪太郎は、周りをよく見ていると思う。丈くんにやったかな、ほんまにその記憶が曖昧になるくらい、しれっとリーダーに指名されて成り行きでって感じやけど、今や1番リーダーに向いてる気がする。

大きな声を出してまとめたりするのは、うちやと拓哉とか斗亜やけど。

皆の心の拠り所になってくれているのは、間違いなく彪太郎やと私は思う。

『も〜……何で本人が来てくれへんの、それやったら！』

琉「照れてるんちゃう？知らんけど」

『……ちょっと不器用なとこあるよな、こたろ』

琉「Aちゃんに可愛い可愛いされんのが苦手なんもあると思いますけどね、」

にやっと笑った琉巧は、「あっちで座ってますよ」と彪太郎の居場所を教えてくれた。