153. 甘えたっていいじゃない ページ3
貴方.
『つかれた〜……』
濁音が付きそうな独り言を呟いてから、乾かしたばかりの髪を手櫛で整える。
お気に入りのヘアオイルは、ないと困るものランキング第1位。やっぱりなあ、髪が綺麗やとテンション上がるねん。女の子やったら分かってくれるはず。
ふわりと香る甘い匂いを堪能していると、間接照明しか点いていないはずの室内で、視界の端が小さく動いた。
流「ん〜……」
『あ、ごめん、起こしちゃった？』
流「A……？打ち合わせは？」
『さっき終わってシャワー浴びてん。ごめんなあ、うるさかったやろ』
流石に打ち合わせは別室でやってたけど、ドライヤーの音とかうるさかったやろうし。
ツアーで地方に来ていて、恒例の部屋割りじゃんけんの結果、今回の同室は流星やった。心穏やかに過ごせる……そう思ったのも束の間、公演後に別仕事の打ち合わせが入ってしまった。
流星とのんびり話したい気持ちを堪えて、「先に寝ててな」と言い残して打ち合わせに参加してきた。
枕をぎゅっと抱き締めている流星は、眠そうに目を擦る。
こんなに可愛らしいけれど、普段はしっかりしている彼だからこそ、小さな子供みたいな仕草に笑みが溢れた。
流「全然うるさくなかってんけど……目覚めちゃって、」
『そうなん？眠り浅かったんかなあ、まだそんなやし』
流「ライブ終わりやのになあ……」
ぽやぽやとした表情と、まだハッキリしない喋り方。
そのどちらもが母性をくすぐるようで、恐らく緩みすぎであろう口角を意識的に引き上げた。
流星はしっかりした子やし、もう21歳やから。
世間一般の21歳がどんなもんかは分からんけど……普段の落ち着いた姿に慣れているから、まだまだ普通の男の子なんやって、考えたこともなかった。
流「……なあ、笑わん？俺が何言っても」
『ん？まあ……時と場合によるけど、笑わんよ。流星が真剣な話するんやったら』
流「真剣な話かは分からんけど、嘘は吐いてないかな」
『せやったら笑わん！何でも話してみ？』
ゆっくりと起き上がった流星は、ぴょこんと跳ねた毛先を撫で付けながら、「あんな」と話し始める。
流「ほんまは、何か変な夢見て……起きちゃってん」
『変な夢？』
流「うん、何か……Aがおらんくなる夢、」
流星は「起きるタイミング探してた」と笑った。
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なぁちゃん(プロフ) - 更新楽しみにしてます (2023年1月7日 19時) (
レス) @page14 id: eb07325492 (このIDを非表示/違反報告)
ハートの花火 - はじめまして！いつも楽しく拝見させていただいております。主人公ちゃんの頑張り屋なところが大好きです！これからも頑張ってください！ (2022年11月28日 19時) (レス) @page14 id: 96baaba9fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2022年8月18日 18時
