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貴方.
『可愛いのもめっちゃ良かってんけど、私的には最初の衣装が好きかなあ。めっちゃ似合ってた！』
正「はは、ほんまぁ？他は？」
『他……あ、ファンサ見習おって思った！照れてできへんやん、普通』
正「Aがもっとファンサしたらファンの子びっくりしちゃうで」
『私もかっこいい〜って言われたいねん』
楽屋付近で話している内に丁度いい時間になって、「付き合ってくれへん？」なんて居酒屋に連れて来てもらった。個室で、ほんの少しだけ人の声が聞こえる感覚が心地いい。ソロコンの感想や、気になった部分を質問してみたり……純粋に良い時間を過ごせていると思う。
お酒の力って偉大やねんなあ。何も気にせんとペラペラ話せてる。やねんけど……普通のペースで飲んでるはずなのに、上手いこと酔われへんというか。しんどさも感じなくて、もしかして緊張してる？なーんて。
正「かっこいい〜とは違うかもしれへんけど、後輩たちは皆かわいい〜って言うてんで。稽古のときとか」
『……え？ほんま？初耳すぎる』
正「まあな……ここだけの話、関ジュの初恋って大体A説あるから。大吾と言うててんけど」
『はい？……初恋？私が？』
正「思春期に一番関わる女の子やからちゃう？」
「知らんけど」とビールを煽った正門くんは、もう一杯追加で注文する。どんだけ飲むねん……と思いつつ、私も弱めのフルーツサワーを頼んだ。全然酔っていない自分に不安になりながらも、初恋というワードを掘り下げる。
『有り難いことやけど、好きなんやったら好きって言ってほしいなあ……こんなんやからこの歳まで恋愛経験ゼロに等しいし』
正「あ〜……それはさ、あれやん？風紀が乱れる〜とかで、誠也くん辺りが睨み利かせてたから」
『……私、もしかして誠也くんのせいで彼氏できへんかったん？』
正「その可能性は高いな」
『えええ、何やねんそれ』
楽しそうに笑った正門くんは、一ミリも思ってなさそうに「残念やったなあ」と呟く。ええよなあ、モテ男は……がっくりと項垂れる私を眺めながら、何が美味しいのか未だに理解できない、苦いビールを美味しそうに飲んだ。まあ、幸せならええんやけど。
私の初恋の人は正門くんなんやけどねえ、なんて届きもしないことを一人考える。
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