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貴方.
『はいっ！なにわ男子の看板娘、20歳の城田Aです！』
大きな声援と拍手に迎えられ、あっという間にMCコーナーへ突入。正直、初めは怖くて客席が見られなかったけど……徐々に視線を移動させると、ちらほらと白色のペンライトが見えて思わずグッときてしまった。
私の自己紹介に「フレッシュですね〜」と、すっかりMC口調の大ちゃんは、そのまま私の情報を掘り下げていく。
『いやいや……ありがとうございます。でも看板娘って言うのはちょっと恥ずかしいから、今後消えるかもね、』
大「何でなん？！まだ一回目やって。これからも言うてくださいよ」
『ん〜……まあまあ、大倉くんと要相談ですね』
大「俺は好きやけどなあ……あ、Aと言えば、特技はギターですね。ファンの方なら知ってると思うんですけど」
『まだまだですけどね。いつか披露できたらなと思います』
楽しそうな笑顔が増えてきて、頑張って良かったなあ……なんて気持ちになる。もちろんまだまだ公演は残っているけれど、初日を経験すれば、後はかなりやりやすくなると思う。感覚を掴める、というか……生意気やけどね。
大ちゃんは突然ギターの話を振ったかと思えば、ニヤニヤとした顔で視線を私の後ろに移す。
大「皆知ってますか？A、正門にギター教わってたんですよ」
『……え、それ今言うん？！』
大「だって後ろの正門がソワソワしてるねんもん」
「俺何も悪くないで」と笑った大ちゃんに、皆が悲鳴をあげる。え、そんなに沸くようなことあるかな……と不思議に思っていると、誰かの手が肩に添えられた。
もしかして、と思い振り返れば、そこにいたのは正門くんで。ニコニコ笑顔で「俺が教えました」なんて嬉しそう。そのまま私と肩を組むようにして隣に立ったかと思えば、大ちゃんが正門くんよりも嬉しそうに笑った。
大「ここも同期やからね。めっちゃ仲良いですよ」
『……何か嫌やなあ、今日の大ちゃんめっちゃ絡んでくる』
正「嬉しいんちゃう？Aとステージ立てて」
『あ〜……ちょっと照れるからやめて、正門くん』
赤くなった顔を手で隠すと、正門くんは私の顔を覗き込んでくる。そこでまた歓声が上がって、ああもう話題になるからやめて……なんて、心の中で焦っていた。
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