愛をかぞえて《 Ryosuke.Y 》

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貴方.



『……涼介くん、起きてる？』

「ん？……起きてるよ、寝れない？」

『ううん、』




貰ったばかりの合鍵は、いつも使う鞄の中に、忘れないように仕舞い込んでおいた。失くさないかな……と心配になる私を見て、彼は「大丈夫だよ」と笑ってくれて、不安な気持ちが少し和らいだように思う。

寝返りを打ってからそう尋ねると、涼介くんは目を開けて「こっち向いてくれた」なんて嬉しそうに笑った。私が見ても分かるくらい嬉しさが表情に滲んでいて、何だかくすぐったい。




「何か気になる？」

『うん……聞いてもいい？』

「俺が答えられることなら」

『……涼介くんはさ、』




付き合いたてのカップルなら、定番の質問だと思う。それでもこの歳になって、おまけに年上で恋愛経験も豊富であろう彼に聞くのは、少し恥ずかしいけれど。

複雑な気持ちも相まって、ほんの少し間が空いた。「私のどんなところを好きになってくれたの？」なんて、少女漫画に出てくる美少女くらいにしか許されていないセリフだろう。




「……気になっちゃったの、それ」

『うん……何でかなって』

「そうね、」

『……ぱっと思いつかない？』

「逆逆、」




私の髪を整えるように撫でつけた涼介くんは、「ありすぎて上手くまとめらんない」なんて、これまた少女漫画に出てくるイケメンのようなことを言った。実際イケメンなんだけど、彼が言うとさらに素敵な響きを持つからずるい。

出会って、話すようになってから知った、涼介くんの甘い声。少し鼻声のようなそれは、近距離で聴くとそれはそれは優しく響くのだ。




「ん〜……敢えて言うなら、ピュアなところかな。俺の一挙一動に、全部新鮮な反応してくれるよね」

『……おお、』

「んで、多分言ったことあると思うけど、」




「何と言ってもかわいい！」なんて、この世の女の子が言われたら卒倒しそうなことを、満面の笑みで言ってのける。こんなにも顔が整っていて綺麗な人に言われたら、逆によく分からなくなっちゃうな……

それでも、好きな人に「かわいい」と言ってもらえるのは嬉しいし、ずっとそう思ってもらえるように頑張らないと、そう思わされる。




「ころっころ変わるでしょ、表情、」

『……そうかな？』

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