やっぱり運命の人~third~

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『……』





静かだ。





さっきまで賑やかだったから、余計に。





『…Aさん』





呼びかけてみても、返事はない。





規則正しい寝息が聞こえるから、気持ちよく眠ってるんだと思う。





『…Aさん、俺さ…愛華さん…と、』





そこまで言って、つっかえてしまった。





…言う必要はある？





言ってどうなる？





Aさんは寝てるから聞こえるはずないし。





…俺はいつもそうだ。





人が聞いてない時に事をすませちゃう。





Aさんに、そんなんでいいのか？





『……俺さ、愛華さんと…キス…しちゃった』





よくないのに。





Aさんが起きてる時に言わなきゃ意味ないのに。





でも…まだ言えない俺を許してください…。





『…なんていうか、…嬉しいって感情はなかったよ。でも、悲しいと悔しいと…とにかく色んな感情が混ざりあってよく分からなかったんだ…』





違う。
別にこんなことを言いたい訳じゃない。





『…その時、真っ先に浮かんだのが、Aさんの顔だった。』





…相手は眠ってるんだから、言えるはずだ。





『…俺、Aさんが好きです…』





寝てるAさん相手に告白をして、





いつかのように、Aさんにキスをした。


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