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早めに布団に入って、一度は寝付けたのに


「ゴホッ...ゴホッ...ッ」

咳の苦しさに目が覚めた。



背を向けて眠る樹を起こさないように

枕に顔を埋めながら、嫌な咳と格闘する。



「..ゲホッゲホ...ッゴホ」



苦しくて、涙が零れたその時

背中に温かくて大きな手が触れた。


樹「A、苦しくなるから顔上げて」


「いつ、き..ゲホッごめん...ゲホゲホッ」


樹「だいじょうぶ。薬が切れて苦しくなったな」



少し掠れた樹の声は、心の安定剤となって

発作のように続いた咳も、少し落ち着いた。



樹「一旦座ろう。で飲めそうなら飲んで」


ベッドの上で足を伸ばして壁に体を預け

ペットボトルに入った水をストローで吸い上げている間に


涙でぐちゃぐちゃだった顔は

樹の匂いが充満するタオルで拭いてくれた。



「ありがと.....ケホケホッ」



樹「胸の音だけ聴かせて」


そう言って立ち上がろうとする樹を制する。


樹「ん?どうした?」


「恥ずかしいから........」


恥ずかしいから電気は付けないで欲しい、という我儘は

分かった、と優しく受け入れてくれた。


樹「ごめん、服の下から手入れるよ」


チェストピースが当てられて

逃れようにも、後ろには壁、目の前には樹がいて

どうする事も出来ない。


樹「A、俺の顔見て。一緒に呼吸しよ」


俯いていた顔を上げると

電気を付けなくても

これだけの至近距離に居れば樹と目が合う。



樹「大きく吸って.....吐いて.......もう1回」


「スーー...ゴホッゴホッ」


樹「ごめんごめん、苦しかったな」


数か所の聴診に、丁寧に時間を掛けていた。

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Mei - 読んですぐ『好きなやつ!』ってなりました。ガッツリ医療系ではないのですが、私自身少し医療分野に関わる実習に行っていたこともあり、共感する部分も多くありました。これからも楽しみにしてます! (2019年11月8日 1時) (レス) id: 6c146f9d58 (このIDを非表示/違反報告)
To(プロフ) - すごく胸キュンでした…占ツクの中で一番好きな小説になりました!!いつきくん最高でした…。またこ の続編やファンタ(なっちゃん)のドクターシリーズも読みたいです。 (2019年11月8日 0時) (レス) id: 55722799bd (このIDを非表示/違反報告)
yuki - このお話めっちゃ好きです!!この3人のお話がもっとみたいです!続編希望です! (2019年10月26日 18時) (レス) id: 02ed079c97 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - ドクターシリーズすごく好きです!続編見たいです! (2019年10月25日 18時) (レス) id: 3a12b44223 (このIDを非表示/違反報告)
桃の木m r i(プロフ) - 面白かったです!ずっと読みたいです!続編を望みます!主人公の体調不良多めで笑倒れたりとか?緊急事態になったりとか? (2019年10月25日 16時) (レス) id: ce5b46e04d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやあ | 作成日時:2019年10月12日 14時

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