無理すんなよ、

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伊野尾サイド





家に着いて、なんとか落とすことなくやまだを運んで、氷枕を置いたベッドに寝かせる。




たまたま予め凍らして販売されてたやつがあって良かった。




でも流石に、




｢んんぅ、、、｣




と女子みたいな声を出し起きてしまったやまだは、顔をしかめた。




｢まだ頭痛い？｣


｢ここ、ちゃんのいえ？｣




あれ、会話になってないぞ？




｢そう、おれん家。あたま、まだ痛いでしょ？薬飲んで欲しいんだけど…｣


｢あ、その前に着替えちゃおうか、スウェットならあるから、サイズ合わなくても我慢してね笑｣


｢んー、、、ごめんね。｣




まだふわふわしてるのに、謝ってんなー別にいいのに。


急いで引っ張り出したスウェットに着替えてもらう。


今のうちに、さっきマネージャーから貰った薬と、買ってきたゼリーとスプーン、お茶のペットボトル、ストロー付きボトルキャップを用意する。


ちょっとコップに移して、ペットボトルにキャップを装着すれば、飲みやすさバッチリ。




｢あーやっぱデカイなちょっと笑あ、ゼリーとかは買っといたけど、食べれる？薬飲む前になんか入れといた方がいいかなって。｣


｢んーと、たべる。｣


｢おっけ、ゼリー出すね。｣




ダボダボのスウェットを着たやまだを、こうなったら甘えさせてやろうと、スプーンにゼリーをすくって口元へ運ぶ。




｢はい、あーん。｣


｢さすがに自分で食べれる。｣


｢いいよ誰も見てないから。おれからのあーん断るなんてもったいないよ？｣




ん、と頑なにスプーンを差し出していると、観念したのか食べてくれた。


感激だなーこんな素直なの、しかも、おれに対してっていうのがレアだな。


お茶も飲みなよーと言いながらゼリーをすくってお茶を差し出して、と繰り返していたけど、半分ちょっと食べたくらいで、




｢もういいや。｣




と呟く。




まだ薬が効いていないのか、起きていたせいか、また少し顔色が悪くなった気もするし、やはり本調子では無いみたい。




｢はい、じゃあ薬飲んでねー。｣




と言ってお茶の入ったコップと薬を渡すと、素直に飲んでくれて。




ゴクッという音が聞こえた。




｢じゃあ一緒に寝ますかー。｣




｢ごめんね、せっかくのoff潰しちゃって。｣




ドラマのワンシーンかと錯覚するような、憂いを帯びた顔で俯きがちに言う姿に不意を打たれてしまって、何も言えない。




そんな風に思ってねーよって、言えない。

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