無理すんなよ、

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山田サイド





楽屋出た時はほんとに行けると思ったんだけど、やっぱ小1時間寝たからって簡単には治まってくんなくて。




ロケ開始から時間が経てば経つほど、だんだんと頭痛が酷くなってくる。


もう全身が重く感じる。




それでも、今日はこれで終わりだし、相手はロケ慣れしてるいのおちゃんだ。




｢〜〜〜だから、これはそんなに値段張らないと思うけど。ねぇやまちゃん！｣


｢うん、そうね。｣




気を遣って、俺が最低限の受け答えで成立するように相談タイムを終わらせてくれたり。




今日の相手いのおちゃんで良かったな。




ユニット組むことになった時は微妙な反応をした俺だけど、今日ばかりは頼もしく感じる。




予定されていたスケジュールにほぼ沿って、ロケは進められる。




カメラが止まった時、




｢表情だけ気をつけとけばいいから。おれがすぐ帰らしたげる。｣




さぁ巻こーと言って、へらっと笑って見せるいのおちゃんの言葉に、不覚にも視界がぼやける。




返事もせず、慌ててそっぽ向いて少し上を見上げていると、お待たせしました！と掛かった声に、




｢はいっ｣




と答える。




さっきより軽くなった気がする体に、もう少しだと気合いを入れ直し、立ち上がった。



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｢お疲れ様でしたー。｣




ロケ終了の声が掛かって早々に、家に帰りたい一心でスタッフさんに挨拶を済ませる。


そして、足早に車へと向かいたかったんだけど。


仕事は終わらせた安心と、ドクドクと脈打つように痛む頭に力が抜けていくのが分かる。




今更やばいと気づいて助けを求めたいけど、声を出すのも辛い。




｢っ、、、｣




その時不意に力が抜けちゃって、膝からストンと崩れ落ちる、と諦めたけど。




｢せーふ。｣




現れたヒーローは、頼りなさそうなあの人。

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