検索窓
今日:8 hit、昨日:17 hit、合計:53,684 hit

episode:凪 誠士郎 ページ25

凪 誠士郎の場合

「ねー、A」

今日も今日とて凪は怠惰だ。
厨房で携帯ゲームをやりながら私にそんなことを言ってくる。こないだあんなことをした癖にいたって普通だ。

『なーに凪』

「人ってどうして恋愛するんだろうね」

特に大した用事でもないだろうと仕込みで止めなかった手を
急な質問によって止められた。

凪らしくない質問だ。


『私に聞く?それ。』

「好きとかって一番めんどくさそうじゃん」


俺めんどくさいのきらーい。と私に送った視線は
また携帯に戻っていった。レオのことを言っているんだろうか。

『レオに聞いたら?』

「Aのことが好きなレオに聞けって?結構ひどいんだね。」

あ、死んだ。と間の抜けた声が聞こえてくる。
仕込みを終えた私も包丁を置く。


トン、と肩が何かにぶつかった。
振り返った瞬間に凪の胸にぶつかったのだ。
そこで初めて真後ろに凪がいることに気づいた。

隙を見せたらだめだ。


『凪、の私を見る目もレオと似てる』

「ん、そうだね。多分俺は君に恋してるんだと思う」

隙を見せたらだめだ。


『だから、私に聞くの?』

「俺をこんな感情にしたのはAでしょ」


Aが責任とってよ、と凪は私の頬に手を添えた。
凪の目は吸い込まれそうなほど黒くて大きい。

隙を見せたらだめだと思うのに
どうしてか目が離せなかった。


『私が好きなの?』

「そうみたい」


ちゅ、とリップ音が耳に響いた。
大きく腰を折った凪はそのまま私の腰を抱いた。
一度唇を離した彼は私の手をそっと自身の胸に置いた。

ドッドッドッドッ、と普通の人より速い鼓動が
掌に伝わってくる。運動でもした後みたいな速さだ。


『凪、緊張してる?』

「うん」

『えっと、...え?...えっ!?』

あまりにポーカーフェイスな凪に、私の方が赤面してしまう。なんでもないみたいにキスしてくるくせに、鼓動が早い凪にこちらも緊張してしまう。

「ねえ、A。レオのとこに行かないで」

ぽすん、と私の肩に顔を埋めた凪は大型犬のように
しゅーんと垂れ下がった耳と尻尾が見える気がする。

心なしか声が弱々しい。


『凪はずっと勘違いしてるよ。
私、レオとできてないよ。と言うか昔フラれてる。』

「...ほんと?じゃあ、このまま部屋に連れて行きたい。Aの全部俺にちょうだい。」

ひょいとわたしを担いだ凪はそのまま制止も効かず
厨房を後にしたのだった。

ハッピーエンド...?

episode:糸師 冴→←episode:ミヒャエル・カイザー



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (106 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
267人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

きゅんた(プロフ) - たるとさん» 初コメありがとうございます〜!誤字ってますね〜!指摘ありがとうございます♡主人公総受けなんでまだまだ関係拗れていったらいいなあ〜!!! (2023年1月30日 2時) (レス) @page17 id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
たると(プロフ) - 初コメ失礼します!!いつも楽しく読ませてもらってます!!玲王との展開も楽しみですしカイザーとの関係最高すぎます〜!!あと少し気になってしまったのですがティラピスじゃなくてピラティスな気がします!!細かくてすみません汗 (2023年1月30日 1時) (レス) @page17 id: 33239378f6 (このIDを非表示/違反報告)
きゅんた(プロフ) - まるさん» 報告ありがとうございます〜!外しました! (2023年1月28日 13時) (レス) id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - オリ‘フラ立ってますよ! (2023年1月28日 7時) (レス) @page1 id: d16c4af477 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きゅんた | 作成日時:2023年1月21日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。