クリスマスの雪 (ページ10)

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クリスマス　（前編）ページ10

Aとユノは、手をつなぎ街へと繰り出した。
その姿はすっかり恋人のようであった。

デパートの中のレストランで楽し気にメニューをのぞく2人。
お互いの頼んだ料理を分け合ったりして、はしゃいでいる。

レストランを出て、パウダールームからAが戻ると、ユノがジュエリーショップから出て来た。

「何か見てたの？」

「別に・・・」

「あれ？そのピアス、さっきと違うよね？買ったの？」

「気づいたの？鋭いね。」

ユノは少し嬉しそうに言った。

「それも素敵だよ、似合ってる。」

「ありがとう。」

微笑んだユノが差し出した左手を掴み、Aも嬉しそうに歩き出した。

その後もウインドーショッピングを楽しんだ2人。
何を買うでもなく、CDショップを覗いたり、洋服や雑貨を見てみたり・・・
クリスマスを楽しんでいる他の恋人たちと変わらない時間を過ごした。

━外へ出ると、まだ雪が降っていた。

「ホワイトクリスマスってだけでも珍しいのに、こんなに降り続けるなんて・・・」

そう言いながら滑って転びそうになるAを支えるユノ。

Aは、誰かに守られている温かさを、とても幸せに感じていた。

「本当はね、冬は苦手なの。寒いのがダメなのね。1人だったら、ずっと家から出ないで
コタツに入っていたと思う。」

そう言い笑うAに、ユノも微笑む。

「でも、雪は嫌いじゃない。・・・どうしてだろね？寒いのに、雪が降ってくるだけで外へ
出たくなるのは。でも多分これは、雪のない地方の人間だから言える事だよね？
雪の多い所に住んでいる人にはそれどころじゃないものね。」

ユノは、繋いだAの手を自分のコートのポケットに入れた。

目を合わせ微笑む2人は、やがて昨日の公園にたどり着いた。

公園では、子供達が雪を投げ合ったり雪だるまを作ったりして楽しそうに遊んでいる。

「子供にとっては楽しいだけの、雪ね。」

笑顔で子供達の姿を見ているAの耳元に、ユノがそっと囁く。

「昨日はここでキスしたね。・・・もう１度する？」

「！！・・・何言ってるの！？」

赤くなって振り返ったAをユノが抱きしめた。