サンタクロース （後編） ページ4
「何！？」
男達はAの部屋の小さなコタツの上に、次々と料理の乗った皿を並べていく。
そして並べ終えると、大きな体で颯爽と部屋を出て行った。
Aは唖然としている。
「何？これ。」
玄関口に立っていた男が入って来て説明した。
「今日のディナーだよ。」
「え！？こんなに？これがプレゼント？・・・っていうか、こんなに食べきれないけど。」
そう言ったAのお腹がグ〜っと鳴った。
Aはお腹を押さえて赤くなった。
男が微笑む。
「正直なお腹のために食べたら？」
Aはその言葉通りに、ディナーをいただくことにした。
━Aはサンドイッチを食べながら、男に話しかける。
「ねぇ、なんであなたと一緒にご飯食べてるんだか、わからないんだけど。」
男は楽しそうにボトルを差し出した。
「まぁまぁ、飲んで。」
グラスに注がれたキレイな色のジュースを飲む。
「おいしい、このジュース。・・・って、あれ？」
男の手からボトルを奪い、よく見てみた。
「これ、お酒じゃない！私、飲めないんだけど。」
「でも、結構飲んでるよ。」
「だって、甘くておいしいから、てっきりジュースだと思ってて。」
Aもアルコールの影響で、確かに普段より陽気に口数も増えていた。
「こんなにおいしいお酒があるんだ。・・・ま、いっか。おいしいから。」
楽しそうに笑うAに、男も微笑んだ。
━楽しかった。
こんなに楽しいのは、どれ位ぶりだろう・・・。
Aはそんな事を考えていた。
冷静に考えたら、おかしな話だ。
初対面の男を家に上げ、2人で食事をしている。
何か事件が起きたって不思議ではない状況なのに、Aには恐怖心のカケラも無かった。
それどころか、目の前にいる男と過ごしている時間が、とても心地良かった。
男も、何かを企んでいるという風ではなく、楽しそうにお酒を飲んでいた。
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作者名：カホル | 作成日時：2020年4月28日 13時
