クリスマス （後編） ページ12
もう時刻は夕方になっていた。
ふと1人になったAの中に、寂しい不安感が溢れてきた。
(ユノはいつまでもここにいる訳じゃない。・・・その時が来たら？)
暖房の前で膝を抱えて座りぼんやりとしていたAは、シャワーを終えて出て来たユノにも気づかなかった。
「A？」
「！・・・びっくりした！」
「どうしたの？ぼんやりとして。」
「あ、ううん、別に。」
「僕がいなくて寂しかった？」
ドキリとし動揺を隠せなかったAはムキになって言った。
「何言ってるのよ！」
「そんな所にずっといると燃えちゃうよ？」
ユノの声は変わらず甘く優しい・・・
「・・・燃えないわよ。」
ちょっぴり拗ねてAは言った。
━「・・・こっち、おいで。」
ベッドにもたれて床に座ったユノが手招きをする。
その瞳に吸い寄せられるようにAは、ユノの隣にちょこんと座った。
ユノの腕が優しく肩を抱く。
何か話をしなければと思うAだったが、考えれば考える程、言葉は遠くへ行ってしまった。
ユノの長い指がAの髪をなで、愛おしそうに頬に触れる。
艶やかな瞳で優しくまつ毛をくすぐるユノに、恥ずかしさで少しうつむくA。
そのうつむいたAの口びるを下からすくい上げるように口びるを重ねたユノ。
優しく何度もついばむ・・・
Aの右手がユノの腕を掴み、離れるユノ。
Aがユノの瞳をみつめた。
Aは、流れに身をまかせようと思った。
ユノの顔が再び近づき、口びるを重ねる2人。
今度はAもユノに応えた。
ユノの大きな手がAの後頭部を支えるようにして、床に倒れこんでいった。
・
・
・
━「ピンポーン。」
顔を見合わせる2人。
「・・・私のお腹じゃないわよ。」
Aの言葉にユノが笑った。
「僕には簡単には許可が下りないようだね。」
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作者名：カホル | 作成日時：2020年4月28日 13時
