雨と目薬が始まりでした。tkin etc.

いちごと馬刺し ページ5

…
side・ym

兄ちゃんから友達連れて帰るから夕飯よろしくってラインがきた。


友達？
ん？
大ちゃんじゃないのかな？
でも、大ちゃんなら大ちゃんてゆーもんな。

初めましての人かな？

じゃぁ、ちょびっと張り切って用意しようかな。
兄ちゃん、ぜったい迷惑かけてると思うし。
お詫びもかねて。


なんて考えながら洗濯物畳んでたら再び震えるスマホ。


兄ちゃんかな？と思って手に取ると……



んげっ！





すぐにソファに投げつけた。









だって




だって




だってさ





うぅーーーーーー




スマホ画面に出ているのは、三日前、喧嘩したまんまバイバイしたやつの名前。



無視だ無視。
未読スルーだ！！

と思いながらスマホを持ったら、チョロっと指先が触れて開いちゃったよ……

うぅーー
もうっ！
既読スルーだ！！！


一度既読がついたからか、次々と送られてくるメッセージ。

【ヤマ！まだ怒ってんの？】
【そんなに気に入らない？】
【ねぇ、これ読んでるんでしょ？】
【悪かったよ、俺が】
【ねぇ、返事してよ】
【今、家の前なんだけど……】




最後の文章で慌てて玄関に走った。





「あ、やっと顔見れたー♪」

「……なんでいるの？」

「そりゃあ、会いたいからじゃん」

「俺は会いたくなかったけど？」

「またまたぁ〜。意地っ張りなんだからぁ」

「な！だれがっ！」

「ほんとは俺に会いたかったでしょ？三日ぶり〜♪ヤマのにおい〜♪」

「なにすんだ！！」

玄関前の共有廊下でムギュって抱きしめられる俺。

慌てて部屋に引っばった。




「おおぅ、だいたーん。積極的〜」

「ちげーっ！こんな公衆の面前でやることじゃないっ！！」

「まぁったく。照れ屋さんなんだから〜」

そう言って俺の頭を撫で回すこいつ。
俺の話なんか聞いちゃいねぇ(怒)





玄関前で思い切り抱きしめてきたのは
俺がいまお付き合いをしてる男。

中島裕翔。

俺と同じ大学の同級生。

モデルもやってるイケメン。
カメラが趣味のイケメン。



そして、俺のことを大好きすぎるやつ。

俺も大好きだけどさ。
だけどさー、ちょっとさー。
色々さー。

はぁー。と深いため息をひとつ。

こいつはなんもわかっちゃいない。



…

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