【男主】涙でにじむ約束は Ⅱ (ページ33)

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弱いページ33

Aside

A「行かなきゃな……」

壁に掛かった時計を見て呟いた。

昨日、みんなに話があるって伝えたとき
みんなの目に緊張が走ったのが分かった。

そりゃそうだよな。

急に話があるから時間ほしいなんて言われたら
俺だって、きっと警戒したと思う。

いい話じゃないかもとは思ってるやつも
いるだろうけど、まさかこんなことに
なってるなんて思ってないだろうな。

それでも、伝えなきゃ。

このままめめだけに事実を背負わせるのは
あまりにも酷すぎる。

テーブルの上にあった９冊のパンフレットが
目に入ってきた。

使わざるをえない日が来てしまった。

バッグに入れようと手を伸ばした。

A「っ……」

手が、震えていた。

覚悟を決めたはずなのに、
伝えるのが怖かった。

いや、伝えるのが怖いんじゃない。

伝えたときの、みんなの反応が怖いんだ。

ぐっと手を握った。

しっかりしろよ、自分。

おまえがこんな病気になるから
悪いんだろ。

みんなと一緒に進めないなら、
伝えるくらいのこと、ちゃんとしろよ。

何度言い聞かせても、
手の震えは止まらなかった。

A「くそっ……！」

壁を思いっきり殴った。

俺は、心も体も、こんなに弱かったのか……？

ジンジン響いてくる手の痛みが、
そんな自分への罰みたいに感じた。