隠し事 ページ24
目黒side
目黒「……大丈夫？」
Aくんのところへ戻ると、
Aくんはそっと目を開けて言った。
A「うん……本当、ごめん」
さっきよりも少し顔色は良くなっていて
声もはっきりしていた。
けど、俺が聞きたいのはそんな言葉じゃない。
目黒「Aくん……俺たちに言ってないこと
あるよね？」
Aくんは、答えなかった。
その代わりに、
すっと俺から視線を逸らした。
目黒「ただの疲れと睡眠不足なんかじゃ
ないんでしょ？」
Aくん、答えてよ。
目黒「ごめん、さっきAくんのカバン、
落としちゃったんだ。
そのとき、中身が出てきて……」
Aくんの表情は変わらなかった。
目黒「……あの薬、何？」
何かを隠していたはずなのに、
いつかバレる日が来ることを
覚悟していたように、俺には見えた。
目黒「Aくん！！」
A「……めめだったら、どうする？」
何もない壁の方を見ながらだったけど
Aくんがやっと口を開いてくれた。
A「もしもある日突然、
あなたの余命は後１年ですって
言われたら」
目黒「え……」
A「……どうする？」
なんでそんな質問してくるんだよ。
まさか、Aくんが？
嫌な想像を、頭から追い出した。
そんなわけない。
だって、もしもの話だっていったじゃん。
目黒「そんなの……分かんないよ……」
A「そうだよな。
実際言われても、どうすりゃいいのか
分かんないままなんだからさ」
目黒「どう、いうこと……？」
聞きたくない。
聞きたくないのに、
聞かなきゃいけないのは分かってた。
A「……死ぬんだってさ」
人ごとみたいに、Aくんは言った。
目黒「だ、れが……？」
A「俺に決まってんじゃん」
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作者名：くらげ
| 作成日時：2021年10月17日 6時
