露呈 ページ20
目黒side
本当に大丈夫だった？
そう聞こうと思って、隣を歩くAくんの顔を
見ようと思った瞬間だった。
Aくんの体が、前に大きく揺れた。
とっさに手を伸ばしたけれど、
その手はどこにも触れることができなかった。
目黒「Aくん！！」
冷たい床に倒れ込んだAくんは
何かに耐えるみたいに眉間にシワを
寄せていた。
カメラマン「大丈夫ですか！？」
さっきまで一緒に撮影をしてくれていた
カメラマンさんが、スタジオから来てくれた。
カメラマン「誰か医務室の先生呼んできて！」
スタッフ「はい！」
周りが動いてくれているのに、
俺はただAくんをみていることしか
できなかった。
医師「あの人？」
スタッフ「はい！」
すぐに白衣を着たお医者さんらしき人が
来てくれた。
医師「名前は？」
目黒「雪村です……」
医師「雪村さーん！ 聞こえますか？」
先生の声に、Aくんは小さく頷いた。
医師「意識はあるね。ちょっと触りますよー？」
聴診をしたり脈をとったりしていると、
Aくんが上半身をゆっくり起こした。
A「すみませっ……ご迷惑おかけして……」
医師「無理して動かない方がいいよ。
ここじゃ落ち着かないかもしれないけど、
まだ相当ふらふらするでしょ？」
先生はやんわり止めたけど、
Aくんはうつむきながら
汗を手の甲でぬぐいながら言った。
A「……ちょっとくらっときただけなんで
もう大丈夫です」
大丈夫って言うには、あまりにも
悪すぎる顔色だった。
医師「うーん、大丈夫ではなさそうだけどなぁ」
Aくんの顔を覗き込みながら
先生は困ったように言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1131人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くらげ
| 作成日時：2021年10月17日 6時
