露呈 ページ19
Aside
不幸中の幸いって、
こういうことを言うんだろうか。
今回の雑誌のイメージは『クール』
そのためか明るい表情や派手なポーズを
求められることはほとんどなかった。
そんな些細なことがありがたく感じるなんて
プロとしてどうなんだよって
自分が嫌になる。
カメラマン「目黒くん、今よりもう少し
カメラしっかり見れるー？」
目黒「はい！ すみません！」
さっきからちらちらめめの視線を感じる。
めめが珍しく集中できてないのは、
明らかに俺のせいなのは分かっていた。
A「めめ、俺は大丈夫だから」
めめにだけ聞こえるように
小さく伝えた。
フラッシュのまぶしさと照明の熱さに
耐えながらの撮影はなんとか終わった。
スタッフ「お疲れ様でした！
またお願いします！」
カメラマンさんや編集者さんの反応を見ると
無事に終えることはできたみたいだった。
A「ありがとうございました」
目黒「またお願いします」
スタッフさんに頭を下げながら
スタジオを出て楽屋に繋がる廊下に出た。
良かった、ちゃんとやり切れた。
そのことに安心して張り詰めていた気が
一気に抜けてしまったのかもしれない。
視界がすっと暗くなった。
次に感じたのは体の傾く感覚だった。
このままだと地面に叩きつけられるのは
頭の隅では分かっているのに、
体のどこにも力が入らなかった。
重力に抗うことなんてできなくて
これからくる痛みを覚悟することしか
今の俺にはできなかった。
目黒「っ！！」
めめの息を飲む音が、
すぐそばから聞こえてきた。
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作者名：くらげ
| 作成日時：2021年10月17日 6時
