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焦った彼と焦ったわたしの目がばちっと音を立てて交わる。その瞬間、体の力が一気に抜けるのが分かった。不覚にも目頭が熱いがそんな事はどうでもいい。




『け、…』

「えっえ、何。ほんとどうしたの。もしかして俺が居なくて焦った?」




慌てて隣に腰を降ろしながら抱き寄せられれば堪らずに腕が伸びた。
が、そんな甘い時間も束の間。わたしの表情や仕草を見て徐々に状況を把握したのか、これ見よがしに彼がにやけ始めた。おいこら。この野郎。今日は一日一緒だって思ったから焦ったんだからな。例え近くのコンビニに行くのだって一緒に行きたいくらいには今日は一緒に居たかったんだからな。何居なくなってんだ。




『…むかつく、』

「えー、ちょっとー。怒んないでよ〜。」




こっちは泣きそうになったってのに。にやける彼とは反比例して、わたしの頰はみるみる内に膨らんでいく。にも関わらず、揶揄われたことに拗ねて見せるのがこんなに逆効果になるのかと思うほど彼の機嫌は良くなるばかりでこの感情の行き先が分からない。




『怒ってないし、焦っただけだし。勝手に居なくなるとかほんともう…』

「あーはいはい、ごめんごめん。そろそろ起きないと1日損したーってそれこそ本当に泣くじゃん。だからちょっと頑張って早起きしたんだって。」




まあ世間から言えば遅起きなんだけど、そう続けながら幸せそうに笑う彼に凭れると阿吽の呼吸で抱き締め直される。どちらからともなく回す両腕の温もりが心地よい。




『…?……、ミルクティー?』

「お、せいかーい。飲みたいって言うかなと思って。」



鼓動に耳を傾けて愛おしさ溢れる手付きで撫でられること数分。落ち着き始めた頃、キッチンから漂う香りに気付き顔を上げる。動画の時同様、一緒に喜んでくれるような声で正解と唱えられると凭れて甘えたまま同じようにわたしの口元も緩まった。




『いい子ちゃんだから許してやりましょう。』

「ちょっと待って、俺やっぱ悪い子ちゃんだったの?」

『当たり前でしょ。』




笑いながら理不尽だなと呟く彼の唇を塞ぐように、柔らかいそれ同士が触れ合う。もう眼鏡を掛けてるのかと問えば、彼女の寝起き姿がぼやけるのは勿体ないし?と思っても無いことを返された。


…まあ、ミルクティーを作るときに火傷をされたらそれはそれで困るので、そういうことにしておいてあげるか。




fin_

SS_izw→←ミルクティー_fkr



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設定タグ:QK , QuizKnock , クイズノック   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:りょ。 | 作成日時:2019年10月12日 3時

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