純愛メランコリー【Ryo】 (ページ12)

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凉くんが取り残して行ったお皿を片付ける。

時間が無いのにキッチンまで届けてくれるところが律儀だ。

龍也くんと、涼くんと、私と。

三人暮らしのはずなのに、龍也くんとお付き合いをしているはずなのに、

まるで凉くんと二人で暮らしているみたいだ。

『……寂しい、』

一緒に暮らし始める前はもっと会わなくても平気だったのに、

近づけば近づくほど、欲張りになる。

すっかり同じ香りになったブラウスをぎゅっと抱きしめて、

今日は早く帰ってこないかなぁ、とため息を零した。

*

きっかり定時に会社を出て、家に向かう。

そういえば冷蔵庫あんまり物入ってなかったな、と思い出して歩いてきた道を逆戻り。

今日の晩御飯何がいい？と聞こうと思ったけど、今送っても返ってこないか、とスマホをしまった。

「……あー！」

『っわあ！』

「Aちゃん発見、一緒に帰ろ」

背中から飛んできた今や聞き慣れた声。

スーツを着ているからちょっとだけ制服の凉くんと並ぶのはちょっとだけ恥ずかしい。

知り合いに見られたら変な目でみられないかな、とか。

「なんでちょっと後ろ歩くの？」

『だって、』

「いいでしょ別に、やましい関係じゃないんだし」

ほらほら、姉弟って手くらい繋ぐでしょ？とするりと右手を取られた。

さり気なく車道側に立ってくれる優しさも、緩められる歩調も。

龍也くんから欲しいのに、涼くんにドキドキさせられちゃダメなのに。

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