純愛メランコリー【Ryo】 (ページ2)

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俺達には両親がいない。

正確に言うと存在はしているけれど、幼い頃に俺達を置いて姿を消してしまって以来何年も会っていないから、死んだも同然だと思っている。

俺より5つ年上の兄ちゃんはもう就職をして、親戚にたらい回しにされていた俺を引き取ってくれた。

社会人数年目、俺を養うにはきっと収入だって十分ではないはずなのに。

「涼ちゃんはなーんの心配もしなくていいんだからね？」

可愛らしい顔立ちをしているのに、俺より背も小さいのに、男らしく胸を張って俺の手を引いてくれた兄ちゃんには感謝しかなくて。

___そんな兄ちゃんには迷惑を掛けたくない、だから少し驚いたけどすぐに頷いた。

『ね、龍也くん、それより先に自己紹介させてもらいたかったんだけど、』

「あっ、そっか！」

格好いいのに、どこか抜けている兄ちゃん、彼女の方がしっかり者のようだ。

『Aです、龍也くんと同い年でOLをしてます。涼くん、だよね、突然押しかけちゃってごめんね？』

「いえ、全然」

涼くん、と名前を呼ばれドキリと音を立てる心臓。

『お姉ちゃんだと思って好きなだけ甘えていいからね、ご飯も作るし、洗濯も、掃除も！』

「俺家政婦としてAのこと呼んだつもりはないんだけど？」

『いいの、龍也くんと涼くんの助けになりたいし』

後で好きな料理教えてね？と笑う顔にころりとやられた。

だって、兄ちゃんと俺の好みの女の子のタイプ同じなんだもん。

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