【文スト】その幼女、実は______

秘密の事情 ページ43

その後、私達がアンヌさんとAちゃんの製作者であるアンヌさんの父親を見ることは無かった

最後に見た笑みは、何を表していたのだろうか

「……太宰様、あの人は……」

不安げにフードの下から私を見る目

私はしゃがんで頭を撫でてあげる

「大丈夫、きっと何処か遠くに行ってしまっただけだよ……きっとね」

そう言って目の前の森さんを見る

素知らぬふりで仕事をしている

私の予想では、父親は殺されたかもしれない

アンヌさんの行方は判らない

ただ、ヨコハマの擂鉢街で金髪の女性が目撃された情報は入っている

中也が行ったが、誰もいなかった

「異能を使ったんだろな」

中也はそう言っていた

彼女の異能は自分にも通用するからだろう

そう考えながら目の前のAちゃんを見る

不安げに揺れる瞳は普通の少女

「……さ、行こうか」

「何処に……ですか？」

「任務だよ。君は…」

森さんは言っていた

“彼女が一番幹部候補に近い”

力もある、頭も良い

だが……私は条件をつけた

“彼女がちゃんと異能を制御するまで幹部にしない“

十一歳が立つには重いだろう

恐らく私がそれを言わなかったら私は幹部にはならずに済むだろうにね

「君は幹部候補なのだから」

そういえば彼女は真剣な表情をする

「そう……ですね」

そう言って決意表明をする目はこれからを見ていた

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