【文スト】その幼女、実は______

過去 ページ15

Asaid

私の居た場所は、人がたくさん居た

でも、私と同じくらいの人はいなかった

なんでかも判らなかった

私は生まれた時のことを覚えている

何故か？それは機械から作られているから

形があって、其処に命が入っただけ

その時は皆が泣いて喜んでいた

だが……私は何も思えなかった

其処から“とっくん”は始まった

“とっくん”をちゃんと出来ないと“ごはん”が食べれなかった

“ごはん”を食べれなかったらお腹が痛かった

翌日も“ごはん”は貰えなかった

「何故これくらいのことができないのだ！」

「ごめんなさ______」

「違う！」

「申し訳ありません……」

その日ももらえなかった

でも、何か香りがした

鉄格子を開ける音が聞こえて私は目を開けると

目の前に女性がいた

「これを食べなさい。静かにね」

そう言われて私は両手で貪るように食べた

でも、女性は“おこらなかった”

食べ終わったら女性は私の頭を撫でて

「明日も持ってくるわ。でも明日はお箸で食べるのよ？」

私は瞬きをする

「それは命令ですか？」

そう聞くと女性は首を振る

「いいえ、アンヌ、これは私からのお願い」

そう言って女性は笑った

とても空気が温かくなる笑みだった

初めて感じた

これは如何言うモノなの

心がポカポカする初めての暖かさは

私を苦しめるモノだったとは知らなかった

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