Baseball! 2 ページ7
Aside
”ねえ。なんで急にエンゼルス?!Aってそんな野球好きだったっけ?!”
エンゼルスのホーム球場はチームカラーの赤が映えるいかにもアメリカらしい球場だった。隣で文句を垂れる友達のジェシカは学部時代オーストラリア留学していたときにできた友達で彼女は今地元の美容室で働いている。一人で野球観戦は何となく変な感じがしたので暇だと聞きつけ連行した。
「Ohtani ユニフォームばっかりだね。想像以上!」
”そりゃそうよ!A日本人なのに大谷人気知らないの?!本当、ここ数年は町中がトラウト大谷祭りなんだから!”
「当然知らないわけじゃないけど、、。」
試合開始のアナウンスが派手な演出付きで始まった。今日、大谷君はバッターとしての出場らしく、彼の名前がコールされると周りから大きな拍手が起こった。
相手ピッチャーが波に乗っていることもあり大谷君のチームは攻撃でかなり苦戦し(彼の打席の内容はすごくよかったけど)同点のまま10回延長までもつれ込んだ。息をのむ展開に心臓がはちきれそうだった。
1アウト2塁の場面で彼に打席が回ってくる。私は思わず手を合わせ、祈るように打席の彼を見つめた。隣に立った彼はとても大きかったけど、こんなに遠くにいる今の彼のほうがよっぽど大きいように感じた。
『プレーで元気づけてあげる。」
くしゃりとわらった彼の顔を思い出す。
「おねがい、うって、、、!!!」
目を開いたとき大谷君がバットを大きく振り切ったのが見えた。完璧なタイミング。最高のあたりだった。
そしてその打球は風に揺られて少しスピードを落としながらも私たちが座っている外野に向かって飛んできた。
“Watch out! (気を付けて!)”
周囲が一瞬騒然となる中、打球は私のすぐ足元に落ちた。大谷君が届けてくれた元気ボールだ。私はそう思ってそれを拾って高く掲げた。
球場のスクリーンの半分に私が映し出されて、その半分にホームランを決めた彼が映った。
彼はスクリーンを見上げて一瞬驚いたような顔をしたけどすぐに飛び切りの笑顔でカメラに手を振った。まさか、覚えていてくれたなんて、信じられなかった。
「これって、、、」
気づいてはいけない気持ちな気がした。どう頑張ったってあんなの反則だと思うけど。だってもう忘れられてると思ってた。
胸にこみ上げる気持ちに蓋をして私も大きく彼に手を振って口を動かした。
「ありがとう、大谷くん」
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みび - 続きが気になります! (9月8日 23時) (レス) id: 4e8c4ab155 (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - miya381117さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (6月4日 16時) (レス) @page30 id: dfa5704a4e (このIDを非表示/違反報告)
miya381117(プロフ) - 続きが気になりすぎて眠れない^ ^翔平行けー! (6月1日 21時) (レス) @page29 id: e8bd8eef5b (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - 桐山めぐさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてすごくうれしいです!!投稿頑張ります! (6月1日 17時) (レス) @page29 id: dfa5704a4e (このIDを非表示/違反報告)
桐山めぐ(プロフ) - こんにちは!このお話めちゃくちゃ面白いです♪大谷さん 主人公ちゃんに連絡出来ない日々を耐えてやっと会えると思ったのに、、主人公ちゃんに何もありませんように祈ります(T_T)続きも楽しみにしてます!応援してます♪♪ (6月1日 17時) (レス) @page29 id: bb3023c008 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るう | 作成日時:2023年5月26日 15時