【4】 ページ12
.
「プロの仕事として見てください。
……それでダメならクビにしてください」
彼女の至極静かな声のトーンと
並べる言葉の差に、動揺して肩が揺れそうになる。反論、じゃない。敵意がまるで感じられない。
CM「クビとまでは言ってない」
「ご自身の目で見もせずに、先入観で判断されるのは心外です」
綺麗な顔して、気が強いな。
瞳の奥が全然揺れてない。
頑固っていうか……そういうとこ、イェソンと似てる。
CM「……なんで？俺らにこだわらなくて良くない？日本に行く必要もないし。
ここまで言われて、俺と一緒に仕事したくないでしょ」
「この話は聞いてないってことですね…」
その後は滾々と説かれた。
彼女なりの東方神起を担当したい理由と、
この仕事を全うしたいっていう本当のネガティブな話(リストラ)
試用期間中にはどうなるか分からないから仕事を引き続き探していたことも。
いい大学出て、仕事に専門性もあって、若いし、一般人の中でなら多分見た目も悪くないのに
なんで好き好んでこんなところにいるのか分からなかった。
Aと言うこの女性の、理路整然とした、でも時折隠しきれない熱っぽい話し方。
自覚してなさそうだけど野心もある。
俺の毒気が抜かれて
ほとんどの謎が解消されたころ、
普通の感覚を持っていて手堅くてエリート寄りな感じが
俺には持ってないものばかりで
羨ましいとさえ思いはじめた。
育ちの良さなら負けないけど。
それがイェソンヒョンも、キュヒョンも好きになった理由？
…そこまでは正直分からない。
だけど、少なくとも
俺らに安易に近づいて、好きにならせといて、平気で傷付けるような
グループの人間関係をかき乱すような
根性が汚い奴じゃないってことは分かった。
CM「ビール、好きなんだ」
「そうなんですね」
CM「あと米。日本の、特に新潟とか東北の美味しいし。食べたことある？」
「はい。父がその辺りの出身です」
CM「へえ。…まぁ、今までコントロールできてたわけだし。」
「はい」
CM「糖質制限とか絶対無理だから。ユノは従うかもだけど、俺は違うから」
「……はい」
キュヒョンが戻ってくるまでの間、
この女が喉の奥でかすかに笑いを噛み殺しているのを、見てみぬふりをしてやった。
俺の優しさで。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 285人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みぃ(プロフ) - ドキドキしながらお話読ませていただいてます^^めっちゃ情景が浮かびます★続きも楽しみにしていますー^^ (2020年7月13日 7時) (
レス) id: 8a20d7ee05 (このIDを非表示/違反報告)
フェデリカ(プロフ) - アキナさん» ありがとうございます！！嬉しいです。2ヶ月も空いてしまっているのに、温かいコメント本当にありがとうございます！！昨日ちょうど4章の一話目を書き始めたので、今週からアップできればと思っています(^^)また遊びに来てください、お待ちしていますー！☆ (2020年6月22日 16時) (レス) id: bd4e4c346d (このIDを非表示/違反報告)
アキナ(プロフ) - こんばんは ひっそりとファンで読ませて頂いております。お忙しいことと思いますが、更新楽しみにしております☆ (2020年6月21日 22時) (レス) id: e981ced4a9 (このIDを非表示/違反報告)
フェデリカ(プロフ) - お変わりないようで安心しました！コロナで楽しみが少なく暇しております(笑)フィクションではHappyにイェソンさんも読者さんもめためたに幸せにしたい…！兄さんのひたむきなSNS更新が私も励みになっています。manmaruuさんも安全第一でお過ごしくださいねー！ (2020年4月3日 14時) (レス) id: 31c6de7297 (このIDを非表示/違反報告)
manmaruu(プロフ) - こんばんは！一話読む毎に本当に心が満たされて、フェデリカさんのおかげで免疫が上がっていると自信を持って言えます！！本編も深いお話もどちらも幸せな気持ちが湧き上がり大大大好きです(#^.^#)お忙しい中更新してくだり心より感謝しておりますー！！ (2020年3月31日 22時) (レス) id: 80fab98ded (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：フェデリカ | 作成日時：2019年7月15日 17時
