赤毛の少年に拾われたっ！件 (ページ1)

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プロローグページ1

働き始めて2年。
もう夢を見ることはなくなていった。

「ここどこ？」

しかし、唐突に見ることもあるようだ。
今私は何もない荒野に立っている。

「......」

前後の記憶はなく、部屋着で裸足。
状況が掴めないが、とりあえず歩き始める。

「え」

しばらくの間歩いていると少し離れたところに何か赤いものが見えた。

「人？」

何もない荒野は訂正が必要らしい。
人の倒れている荒野だ。

「あの、大丈夫？」

「...」

返事がない、まるで屍のようだ。

「息はあるよね...？」

実際屍は洒落にならない。
夢であっても気分が悪い。
倒れている赤毛の少年に近寄り観察した。
中学生くらいか？

「...、うん、生きてる」

声をかけても返事はないが、呼吸はあるようだから気を失っているだけなのだろう。
自分のこともままならないが、年端もいかぬこの少年を放置するのは罪悪感に耐えかねる。

「よっこいしょっ」

よかった、思ったより軽い、少年を抱き上げて一番に思ったことだ。
というか身長に対して軽すぎる気がしないでもない。

「...どっかに交番がないか探そう...」

このだだっ広い荒野で何を言っているのか、自虐気味に笑ってしまう。
少年を落とさないようしっかりと腕を回しまた歩き始めた。

「...っ」

しかし軽いとは言え、人一人を抱えひたすら歩き続けるのは正直しんどい。
太陽が照りつける熱気と、土埃のまう乾燥した空気。

「...はぁ...っ夢なのに何でこんなに苦しいのさ...」

息を荒らげ町を探すが一向に見つからない。

「っ！？」

足が何かに躓く。
疲労により傾いた体を立て直すこともできず、少年を庇うので精一杯だった。

「つっ...！！」

固い地面へと倒れ下側になった腕が痛む。

「大丈夫っ！？」

ハッとして少年を見る。
とっさに庇ったが、

「...」

「...ふぅ」

相変わらず意識はないが大丈夫そうだ。

「うぅ...いったっ...」

少年の無事を確認すると急に腕が痛みだした。
腕には大きな擦り傷があり、躓いた足も爪が割れ血が出ていた。

「っ...」

痛みに堪えながら何とか少年を引きずり僅かな日陰の下へと移る。

「あ～...この夢ハードモードすぎぃん？」

ぼんやりと空を眺め思わず呟いた。

「っ...気持ち、悪い...」

じわじわとせり上がる嘔吐感、気だるく重い体。
そしてだんだんとまぶたが重くなり意識が遠退いた。