Ep9「ドーナツMeeting」 ページ10
全てを購入したあとこれからのことを話すため、そして空腹を満たすためフードコートでドーナツを噛る。
「いつ自分の家に帰るかはわかりませんが、必ずお金はお返しします」
「別に気にしなくて良いのに」
そう言うわけにはいかないのです。
見返りのない親切ほど怖いものはありません。
だからお金は絶対になんとしても返すので、領収書をお願いします。
「っと、それよりこれからどうするんだい?」
「そうですね...まずはバイトを探します。そこからヒソカさんへの返済と独り暮らしに用立てようかと」
「へぇ...えらいね...」
彼の言葉になにか含みを感じる。
表情はずっと変わらず微笑んでいるが、その目は「面白くない」と言いたげだ。
「でも、身分証もないキミが働くのは少し難しいんじゃないかな?」
「それは、そうですけど...身分証がなくても雇ってくれるところを」
「あぁそれはオススメしないよ。身分証もなく雇うところはたいてい裏の仕事をやらされるから」
「裏の仕事?」
「そ、危なくて怖ぁい人がいっぱいのおシゴト」
つまりそれは...。
私のいたところでもそういうものは存在しているようだったけれど、こんな風に人から言われるほど露骨ではなかった。
もしかすると、ここはそういうものが日常にあるのかもしれない。
「そんな...どうしたら...」
「...そうだ、ボク今度ある試験を受けようと思っていてね。その試験に合格すれば特殊な身分証がもらえるんだ」
ヒソカさんが言うにはその試験は参加自由、身分提示はなくニックネームやペンネームなど本名でなくとも良いほどらしい。
しかし合格したあかつきには、どんな身分証よりも信頼のおける身分証が貰えると。
「...それは...(少しどころかものすごく怪しい試験なのでは?)」
「ふっふ、大丈夫、その試験は各国でも認められたれっきとした協会が開いているものだよ。キミも一緒に出てみないかい?」
「そうなんですか...でも、私試験勉強とかしてないですし...」
「あぁ、それも大丈夫。他の参加者との協力は基本禁止されてないんだ。だからボクが手助けするから安心して」
ヒソカさんにこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
しかし、身分証がなくてはこの先困るのも確か...。
「わかりました!私もその試験受けます!」
「そう、良かった。その試験会場はここから遠くてね、日数もかかるからその間キミを一人にするのは心配だったんだ」
そういえば、聞き忘れたが何の試験だろう?
Ep10「漂うNostalgia」→←Ep8「飼い主Order」
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作者名:00 | 作成日時:2019年5月25日 12時