Ep7「飼い猫Feeling」 ページ8
目を覚ますと知らない部屋のベットで寝ていて、まだ夢は覚めていないのかと悄然とうつむく。
もう嘆いても仕方ないと頭を降りなんとか思考を切り替えた。
それと同じタイミングでノックの音が部屋に響く。
「あ、どうぞ」
「やぁ、おはよう」
すでに着替えを済ませたらしいヒソカさんがドアを開けて入ってきた。
白いYシャツに黒いパンツというシンプルだがスタイルの良さが際立っている。
「朝食、食べるだろ？」
彼に手を引かれ案内されるまま部屋を出てダイニングテーブルについた。
そして目の前に洋風なモーニングプレートが置かれる。
「料理は得意ってほどではないけど、美味しいと思うよ」
「...い、いただきます」
フォークを手に、料理を口に運ぶ。
「美味しいです！」
「良かった。だけど慌てないようにね」
透明なグラスに真っ白な牛乳を注ぎプレートの近くに置く。
「昨日から食べてないからいきなり食べて胃が驚くよ」
「ありがとう、ございます...」
勧められグラスを手に取り牛乳を喉に流した。
どうやら食べ物は自分が知るものと同じようだ。
「朝食を食べたらキミの日用品を買いに行こうね」
「え、でも...私お金は...」
「あぁ、気にしないでいい。ボクお金に困ってないから」
「何でもAの好きなものを買ってあげる」そう言って私を甘やかすように頭を撫でる。
彼の容姿でこんな台詞を言われたらときめかずにはいられないが、状況が状況だけに申し訳なさしかない。
彼が何の目的で私を拾ったのか、なぜこうも甘やかすのか。
しかし、その謎も出かけ先で明らかとなる。
「可愛いっ...」
大きなデパートの一角、ペットショップの前で足を止めた。
「ヒソカさん、可愛いですよ！」
「！」
少し離れたところで眺めているだけの彼の手を引いて子猫の近くへ行く。
「あれ？」
先ほどまでボールで楽しそうに遊んでいた子猫はガラスケースの奥で布団に隠れてしまった。
よく見ると周りのケースに入った子猫や子犬はみんな同じように隠れてしまう。
中には唸ってこちらを睨んでいるような子までいる。
その異様さにペットショップの店員まで慌て始めた。
「どうしたんでしょう？」
「...やっぱり」
「ヒソカさん？」
黙っていたヒソカさんが急に頭を撫でた。
私は驚きつつもおとなしく撫でられていると、彼は満足そうにこちらに微笑む。
その時、何となくわかった気がした。
彼にとって私は子猫や子犬と同じなのだと。
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作者名：００ | 作成日時：2019年5月25日 12時
