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Ep6「微睡みCradle」 ページ7

夕暮れのオレンジに染まる町並みを歩き、最初の場所へと戻る。
「選択肢があるなら」そう言って彼の手をとったが、やはり不安はあった。
彼、オベロンもといヒソカさんはドアを開けて私に入るよう促す。


「どうぞ」

「っお邪魔、します...」


緊張で声が上擦るのを押さえながら中に入ろうとするが、彼は遮るようにドアに手をついた。


「違うだろう?」

「?」

「仮とは言え、ここはしばらくの間キミの家だよ」

「...た、ただい、ま?」


彼が求めるもの、求める言葉と思われる一言を口にする。
するとにっこりと微笑み「良い子だね」、そう言いながら私の頭を撫でた。
気恥ずかしさから受け入れがたい行為だが、楽しそうに撫でる彼をみると悪い気はしない。
そして部屋へと上がり、勧められるままあのクッションへと座る。
とたんに力が抜け、立ち上がることができないほど体が重くなった。
それに驚いたのもつかの間、それだけ自分が精神的にも肉体的にも疲れていたと自覚する。
クッションに沈む感覚が心地よく身を預けた。


「A?」

「ぁ...」


ヒソカさんに名前を呼ばれるも、返事をすることもできず意識が微睡みに消えていく。


「眠っちゃったのかな」


クッションで眠ってしまったAに少し呆れ気味にヒソカは笑う。
それから彼はどうしたものかと考えを巡らせた。
部屋はあるが彼女を横に寝かせることができる部屋はない、自分の寝室以外は。
Aをこのままクッションで寝かせるのは今日の疲労具合を鑑みると辛いだろう。
ヒソカは彼女を拾った以上、ちゃんとした生活を送れるようにするつもりだ。


(まぁ、仕方ないか)


Aの膝に腕を差し込み横抱きに持ち上げる。
優しく抱き上げたとはいえ、起きる様子のない彼女にヒソカはまた微笑んだ。
子犬や子猫を拾うように彼女を拾った彼にとって、今の彼女は小動物と同じである。
普段小動物や人にさえ怯えられるばかりの自分の腕で健やかに眠るAに、ヒソカはいくばくかの愛おしさを感じた。


「ふふっ...」


小さな鼓動を腕に彼は寝室へと向かう。
そして、彼女を自分のベッドに寝かせ部屋を出るとリビングへ戻った。
マグカップにアイスコーヒーを注ぎソファーへと座る。
一息つくと先程まで彼女が座っていたクッションへ視線を移す。


(しばらくして彼らにも会わせてみたら楽しそうだ)


これからの楽しみを想像しつつコーヒーを飲みテーブルへとマグカップを置いた。

Ep7「飼い猫Feeling」→←Ep5「優しいMagician」



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作者名:00 | 作成日時:2019年5月25日 12時

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