ライバル作曲家現る!「新歓の曲に神を見たと思って来てみりゃ、非道のハーレム部だったとは恐れ入ったゼ」 ページ10
翌日DTM部に夜陣たちと同学年の
痩身長身だが、目つきは悪く、釣り目の三白眼とオールバックが威圧感を放っている。
一見すると、不良のようにも見えるが、龍華はピアニストコンポーザーと名乗った。
夜陣がノートパソコンを持ち歩きぎみなのに対し、龍華はスマホを常に携帯し、いつでも作曲できるようにしている。
スマホを二本指で操作する拙い動きから、龍華がピアニストということを想起できる者はいないだろう。
龍華は部室でお茶を出してもらうと、行儀悪くがばっと一口飲んで、レーレを見やり、いきなり切り出した。
「ところで昨日の新歓、二番目に歌った仮面の方はお前カ?」
レーレが渋々返事をする。
「ちっ、そうだよ。
寡黙で通ってるA組の出蔵レーレちゃんが仮面の正体だぜ。
いいか、お前が体験とはいえDTM部に入ったから正体を明かすんだぞ。
口外するなよ。
つまんねークラスの会話に参加しなくていい温い環境を私から奪うというなら、その時は容赦しないからな。
跪かせて、それから歌わせてやるよ!」
「レーレ!」
「や……夜陣!」
夜陣はにっこり笑ってレーレに言った。
「他人を跪かせて何かさせる……なんて冗談でも口にすべきことじゃないだろ?」
「口にも何も、私は実際に……」
「実際に?」
夜陣はすごく冷たい目でレーレを見下ろした。
「く! 何でもないのだぜ」
龍華はそれを見て言った。
「ンだヨ、その拷問。口外しねーヨ。
だが、コンポーザーの夜陣……だっけカ?
お前へらへらしてる割に何か引っかかル」
「引っかかる?
例えば?」
「例えば……そうだナ。
そこの女ふたりがずっとビクビクしてるところトカ」
「!」
「特に黒髪の方は頬が赤くなって息も上がってるゾ。
これはまるで……」
「え? えっ……」
カタカタとお茶を握りしめながら、上ずるせいか。
せいかのカバンの中でかさっと動く結局渡しそこねたラブレター。
宛名には龍華優雅様と書かれていることは、本人以外誰も知らない。
「風邪のようじゃねーカ!
もしそうなら安静にさせなきゃならねーだロ!」
脱力するせいか。
夜陣も脱力したようだった。
「別にこいつが風邪だろーが、喉にくるものじゃなきゃ、歌えるだろ」
「何ダト?!」
「女は道具だ、作曲のな」
「……お前、お前……本気で言ってるのカ?」
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作者名:ルスブ | 作者ホームページ:http://twitter.com/rusbsss
作成日時:2022年9月9日 10時